ウナギの放流は避けるべき
また、日本ではウナギの放流も盛んに行われている。しかし、放流によってウナギが増えるという科学的な証拠はない。そればかりか、ウナギの放流によって、ウナギヘルペスウィルスなどの病原体が拡散することが明らかにされている。
放流は資源回復に対する効果が不明なだけでなく、ウナギやそれを取り巻く自然環境に対して悪影響を与えることも懸念されるため、可能なかぎり避けるべきだ。特に、「放流は良いことである」という誤った認識を植え付けることになるので、子供に放流を行わせてはならない。
ウナギを持続的に利用したいと思う消費者は、どのような選択ができるのか。「食べない」という選択もあり得るが、「食べる」場合には、以下の基準に従い、より適切な取り組みを進めている企業や生協の商品を選択することが重要だ。
(1) ASC(水産養殖管理協議会)など国際的に認められている第三者機関の基準に従って、持続可能な養殖を目指している。
(2) 違法に流通したシラスウナギの利用を避ける意思を明確に示している。
(3) 堰やダムによる遡上の阻害の解消など、科学的な知見に基づいた環境回復を進めている。
(4) 石倉カゴの設置や放流など、科学的な裏付けのない取り組みを行っていない(※ただし、汲上げ放流と汲下げ放流は推奨できる)。
一人一人の影響は小さいが、最終的には消費者の行動が社会の変革につながるはずだ。ウナギ問題の解決を通じて、持続的な社会の実現へ近づくことが期待される。
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