ニホンウナギは2014年、国際自然保護連合によって絶滅危惧種に指定された。しかし、持続的利用に向けた対策は遅々として進まない。ウナギをめぐる異常な現状を整理するとともに、消費者が取るべき行動を考える。
日本で食用として流通するウナギの大部分は養殖されたものだ。飼育下でウナギに卵を産ませて育てることは技術的に難しく、多大なコストがかかる。このため、天然のウナギが産んだ卵から育った子供(シラスウナギ)を捕獲して養殖場で育てる。「養殖ウナギ」と呼ばれていても、元々は野生のシラスウナギだ。
消費を天然資源に100%頼っていることから、ウナギは再生産する天然資源だと言える。再生産する天然資源は、利用速度が再生産速度を上回らなければ、持続的に利用することができる。
日本に生息しているニホンウナギの場合、最近の岡山県における研究結果では、2003年から2016年の13年間で、天然ウナギが80%も減少したと報告されている。個体数が減少しているということは、利用速度が再生産速度を上回っているということだ。
この状況を打開し、ウナギを持続的に利用するためには、利用速度を低減し、再生産速度を増大させる必要がある。利用速度の低減は消費量を削減することによって、再生産速度の増大は河川など生息域の環境を回復することによって実現できる。
ニホンウナギを養殖している日本、中国、台湾、韓国は、「ニホンウナギ資源の保護」を目的として、2015年より養殖に利用するシラスウナギの上限量を全体で78.8トンと定めている。しかしながら、実際に捕獲されたシラスウナギの量は、例えば2017年が50.5トンと、上限の7割にも届かないのが現状である。
シラスウナギの上限量は、実際の採捕量に対してあまりにも過剰であり、事実上「捕り放題」の状況が放置されている。
シラスウナギの捕獲は基本的に禁じられており、採捕には都道府県知事から特別な許可を得る必要がある。また、採捕したシラスウナギは、定められた規則に従って売買しなければならない。しかし、シラスウナギの採捕と流通には、違法行為が関わる場合が多い。