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「こんな女になりたくない」と語る友人が見落としているもの

 彼女は延々と、旦那の携帯を見るような女にはなりたくない、若い女に旦那を取られて悪あがきするような女にはなりたくない、もう自分を愛していない旦那にしがみつく女にはなりたくない、といった趣旨のことを笑い混じりで話し続けた。夫婦であれ人の携帯電話を盗み見する行為自体は確かに褒められたものではないのだが、私は私の友人が見落としているものがあるような気がして、それでもそれが何であるのかよくわからずになんとなく話を合わせた。

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 カップルの女の側が浮気している、不倫しているという例も少なからず耳にするが、彼女たちの場合、子供のことや経済的な事情から離婚や別れを望んでいないにしても、旦那に性的な魅力をすでに感じていない、と話すことが多い。また結婚していないカップルの場合はもっと顕著で、女性の浮気はそのまま次の恋に発展する場合も多い。そのセオリーに則ると、確かに浮気相手に夢中になったり愛人を可愛がったりする男性は、すでに自分の本命の女や妻に魅力を感じていない、と言うことになるのだが、実情はそうも思えない。

男の多くは、本命の女と愛人を同じ生き物だと思っていない

 むしろ、自分の家庭や妻に特に不満もなく、安定に慢心していて、子作りも順調であってなお、別の女性にちょっかいをだす男性はとても多い。もちろん、妻に不満がある人も、家庭が息苦しい、あるいは寂しいと感じている人もいるだろうが、問題なく家庭を愛している人もいる。これは女性の側にはそれほど見られない現象で、だからこそ理解し難く、自分に夢中なはずの恋人が、家庭で二人目の子供を作っていた、なんていう事実にショックを受ける女もいる。ただ、夜の街にいるとよくわかるが、男の浮気心と家庭への愛や本命の女の質には相関関係がない。ホストクラブの上客のほとんどが未婚女性であるのに対し、キャバクラやクラブの上客は既婚男性が多いのと少し似ている。

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 男の多くは本妻あるいは本命の彼女、ファム・ファタール(運命の女)のような存在と、遊び相手や浮気相手、愛人などという生きものを、同じ生き物だと思っていない節がある。会社で部下の女に話すことと、夜の街でお金を払ってホステスに話すことの内容はおろか口調すら変わるのと同じように、友達としては好きだけど恋人として付き合うことはできないなんていうことがあまたあるように、女は好きだが姉や妹の裸なんて全く見たくはないと思うように、男にとって本命と浮気はまったく別ジャンルの何かであり、どちらかがどちらかに取って替わることなど基本的に全く考えていないようなのだ。

 これは結構残酷なことである。妻が望むウエディングドレスや妊娠なんていうコンテンツを、愛人も似たように夢見ることがあるとは思わない。妻と作り出す生活の隙間を埋める刺激となってくれる愛人が、それ以外の時間に何を思うかに想像は及ばない。その残酷さを受け止めることができないのであれば、既婚男性との付き合いは、悲しみや勘違いを生むだけだ。