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運転士不足と高頻度運転のジレンマ

 一方で以前の記事でも指摘したようにバス業界は運転士不足が深刻化しており、高頻度運転もなかなか実現しづらいのが現状だ。民間バスでは低利益路線に振り分けているバス運転士を高利益路線に振り分けたいという視点から中山間地域での自動運転バス導入に期待する声がある。都営バスももっと稼げる路線あるいは稼げるか稼げないかの境界にも関わらず運転士不足で増発の機会損失をしている路線もあるのだろうと推測される。

都営バスの新施策のひとつ「デジタルサイネージ」 バス事業の黒字化を目指しながら、必要な投資も進めている
都営バス利益トップ5の路線図(著者作成)

 ここまで「稼ぐ」都営バスについて紹介してきた。そもそも東京は鉄道が発達し、鉄道の二次交通としてバスが発達している。今回紹介した「東22」系統も大きい2駅を結んでいるという要素が大きいことは先に述べた。そのため、東京圏には距離が短く客の多い「稼げる」系統も多い。

 都営バス以外の東京を走る民間事業者は系統別の収支は公開していないが、「本数」と「乗っている人数」、「距離」を見ると「あ、ここは稼いでいるのだろうな」とわかる路線がある。次にバスに乗るときはそういった視点で路線・系統を見ると違った発見があるかもしれない。

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写真=鳴海行人