1ページ目から読む
4/5ページ目

なぜ「3km運行」が多いのか

 利益を上げるには「収入」も大切だが、「支出」も大切だ。せっかくバスが多く「収入」を挙げても「支出」が多いのでは意味がない。実際に収入トップの「王40」系統は支出が多く、利益ランキングでは5位以下(15位)だ。では支出を左右するものは何か。それは人件費と燃料費にある。当然だが、距離が長いほど運転時間は長くなり、人件費も燃料費もかさむ。また、1系統に必要なバスの台数が増えるほど人件費も燃料費もかさむ。

 一方、「東22」系統のような短い区間の運転が多い系統は必要な台数が絞られ、「支出」が減る。さらに、都営バスのように均一運賃の場合、短い距離で乗り降りする乗客が多く、始点と終点とで客の入れ替わりがあるほど効率よく運べる。特に「東22」系統の場合、錦糸町駅~東陽町駅間約3.0kmという短い区間の途中乗降で客が入れ替わる。こうして「稼ぐ」路線となっているのだ。

短距離が生み出す「好循環」

 また、短距離の路線であれば少ない台数で高頻度運転が可能だ。すると待たずに乗れるバス路線が生まれ、乗客も乗りやすくなり、乗客が増える。こうして利益が増える「好循環」が生まれ、より多くの利益が生まれるのである。

ADVERTISEMENT

 もっと極端に「利益率」を見れば、短い路線かつ朝晩のラッシュにしか乗客がいない場合、ラッシュ時に集中的にバスを動かし、昼間や土休日はバス本数を絞れば利益率は上がる。このタイプに近いのが3位の「品99」系統で、全体的な本数は多いが、平日朝ラッシュ時間帯は1時間あたり22本、土曜日昼は1時間あたり5本と差が大きい。また、平日は昼間のバスの半数が東京入国管理局前で折り返す、短い距離の運行に絞っている。