1ページ目から読む
2/5ページ目

利益額1位の路線は……

 そして利益ランキングで1位なのが東京駅丸の内北口と錦糸町駅を結ぶ「東22」系統だ。年間で約3億6千万円の利益を上げ、黒字額全体でも約11%を占める。100円稼ぐのにかかる費用を示す「営業係数」では67。この路線は「収入」のランキングでも第4位に入っており、まさに「優等生」な路線と言える。

 この路線が「稼ぐ」のはなぜか。その秘密を探りに錦糸町駅からバスに乗ってみることにした。

錦糸町駅南口のバス乗り場に入ってくる「東22」系統

 東22系統が発着する錦糸町駅南口に行くとひっきりなしにバスが発着するのに驚く。錦糸町駅を発着する都営バスの系統は北口が5系統、南口が15系統。東京駅・大塚駅・日暮里駅・南千住駅・お台場エリア・葛西駅など多様な方向に行くことができる。そして南口乗り場には利益1位の「東22」系統、同2位の「都07」系統、同7位の「錦25」系統が10分未満の間隔で特によくやってくる。中でも「東22」系統は昼間でも6分間隔。そしてどの便にも20人ほどの客が乗っていく。

ADVERTISEMENT

「東22」系統の時刻表。東京駅丸の内北口へ向かう系統だが、途中の東陽町駅行きのバスの方が多い
「東22」系統の乗り場はいつも多くの客が待っている

 この人たちはどこへ向かうのか。筆者も東京駅丸の内北口行きのバスに乗ろうとした。しかし行き先が「東陽町駅」と出ているのだ。「アレ?」と思い、時刻表を見て驚いた。

 平日に錦糸町駅から出発する「東22」系統のバス208本のうち約7割にあたる145本が東京駅ではなく、錦糸町駅~東陽町駅の運行なのである。ちなみに錦糸町駅から東陽町駅までは四つ目通りを南へ向かい約3kmだ。非常に「近い」といえる。

 さて、こんな近距離でどこまで客は乗るのだろうか。実際にバスに乗って観察してみる。

昼間の「東22」系統車内の様子

 都営地下鉄新宿線の住吉駅を過ぎ、小名木川を越えると客の乗り降りが始まった。各バス停で2~4人が降りては3~4人乗るというペースで東陽町へ向かう。錦糸町も東陽町も大きな駅のため、どちらの駅の方向へも需要があるのだ。