きょう1月28日は、星野源の38歳の誕生日である。星野については、一昨年の誕生日にもとりあげた。前年の2016年に出演したドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』と、自ら歌った同作のエンディングテーマ「恋」が大ヒットし、彼が一躍スターとなった直後のことだ。

アーティスト、俳優、文筆家――多彩な仕事で伊丹十三賞に

 それから2年。この間の活躍も著しく、2017年には初の冠番組であるバラエティ『おげんさんといっしょ』がNHK総合で放送され、昨年にはその第2弾に続き、大晦日の『紅白歌合戦』にも女装した「おげんさん」のキャラで登場、「紅白もこれからね、紅組も白組も性別関係なく、混合チームでいけばいいと思う」と発言して話題を呼んだ。昨年はまた「ドラえもん」(『映画ドラえもん のび太の宝島』主題歌)、「アイデア」(NHKの朝ドラ『半分、青い。』主題歌)とシングルをあいついでリリースしたのに続き、年末には3年ぶりのアルバム『POP VIRUS』を発表した。来月からは自身初となる全国5大ドームツアーを控える。俳優としても、昨年には声優を務めた細田守監督のアニメ映画『未来のミライ』が公開され、今年はNHKの大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に出演するほか、夏には久々の主演映画『引っ越し大名!』(犬童一心監督)の公開も予定されている。

38歳の誕生日を迎えた星野源 ©文藝春秋

 このほか、ラジオ番組のパーソナリティ、さらに文筆家とさまざまな顔を持つ。2017年には、こうした幅広い活動が評価され、第9回伊丹十三賞も受賞した。伊丹十三もまた映画監督・俳優のほか、エッセイやイラストなど多彩な仕事を残した人物だけに、その名を冠した賞はいかにも星野にふさわしい。同賞の贈呈式のスピーチでは、20代半ばに伊丹映画をDVDで観返したのを機に伊丹について調べるうち、その多岐にわたる仕事を知り、それが「どこかのグループに属することに憧れながらも、いつも、ちょっとはみ出してしまう」自分の心の支えとなったと打ち明けた。星野はさらに続けてこんなことを述べている。

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伊丹十三賞贈呈式でのスピーチ ©文藝春秋

「伊丹さんに『それが君の場所だよ』と言われている気がした」

《ただ、ずっと遠くで伊丹さんが、灯台のサーチライトのように辺りを照らしてくださっているんですが、どうやってもそこには行けないようにできていて。僕の島と伊丹さんの島の間には、大きな海がある。追いかけようとした時期もありました。でも伊丹さんの活動を見ていて、だんだん、『君は君の場所を作れ』と言われているような感覚になりました。そして20代後半から『どこかに属するというよりも、とにかく好きなことをやろう。自分がやりたいこと、一人前になりたいことを』という気持ちでどの仕事もやっていたら、こんなに素晴らしい賞をいただくことができました。伊丹さんに『それが君の場所だよ』って言われているような気がして、すごくうれしかったです》(※1)

 先人へのリスペクトにあふれた見事なスピーチだ。贈呈式をレポートした川口ミリは、星野の「注目すべき7つのワケ」の1つとして「先輩たちとの良好関係」をあげているが(※1)、たしかに各界のレジェンドからこれほど愛される後輩もなかなかいまい。たとえば、音楽家の細野晴臣とは『テレビブロス』誌で長らく連載対談を続けるなど親交が深い。前出のニューアルバム『POP VIRUS』では、ずっと影響を受けてきた細野に対し、音楽でオマージュしたいと「Continues」という一曲を手がけ、彼の想いをつなぐとのメッセージを込めた(※2)。