1988年の米大統領選で最有力候補と言われたゲイリー・ハートが、私生活の汚点により政治人生に終止符を打った事件を追う映画『フロントランナー』。メガホンをとるのは、ジェイソン・ライトマンだ。
「当時僕は10歳で事件は記憶にないが、3年前にポッドキャストを聞き興味が湧いた。脚本は多くの異なる関係者の視点から書いた。中でもジャーナリストの立場は微妙だった。ニュースとゴシップの違いとは? 娯楽と報道の違いは? 当時の新聞はそれを模索しなければならなかった」
ツイッターもSNSもない時代、紙媒体の役割は大だったと語る。この映画を見ると2年前の米大統領選と1988年を重ね合わせたくなる。
「この映画を作った理由は80年代の状況のほうがずっと複雑で面白いと思ったから。トランプの人間性に問題があるのは明白だ。ところがハートは違う。彼はきっと素晴らしい大統領になっていただろう。彼は公私の違いを認識し境界線を越えることを避け自分の立場をはっきりと持っていた。そういう政治家は現在あまりいないと思う」
30年という歳月の流れが米国の政治にもたらした変化を痛いほど感じる。
INFORMATION
『フロントランナー』
http://www.frontrunner-movie.jp/