昨年9月に亡くなった女優・樹木希林。錚々たる大俳優、名監督から評価され、公私ともに濃密な人生を歩んだ彼女が遺した含蓄のある言葉を、6個のテーマに分類、整理してまとめた新書が、爆発的に売れている。
「企画を立ち上げてから、まず、樹木さんの発言を30年分以上、読んでいきました。読み始めてすぐ、いい本になる予感がしましたね。収録した最も古い発言は1985年のものですが、その時点でもう、樹木さんの思考は成熟していたんです。よい発言を探す苦労よりも、どの発言を落とすのかという贅沢な悩みの方が大きかった。2カ月弱という短期間で刊行することができたのもそのおかげです。樹木さんは女優であると同時に、思索者、哲学者だったのだと思います」(担当編集者の石橋俊澄さん)
「絶対こうでなければいけないという鉄則はない」「もう人生、上等じゃないって、いつも思っている」など、強い言葉が並ぶ。
「どの言葉も、奥深いけど上から目線じゃない。笑える部分もたくさんある。そのあたりのバランスが絶妙なんですよね。樹木さんが亡くなられたことで、多くの人が喪失感を抱えておられるように感じます。こちらの想像をはるかに上回る反響は、ただ話題性を重視したからではなく、心の穴を埋められるだけの内容になっていたからではないでしょうか」(石橋さん)
2018年12月発売。初版5万部。現在9刷55万部