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消えた中国の性都 「東洋のアムステルダム」でヤバいホテルを泊まり歩いた話

中国の性産業は今……

2019/02/18

genre : ニュース, 国際

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(4)夜遊びの王様として知られた「匯美酒店」

 君悦大酒店のサウナと並んで、往年は東莞の夜遊びの王様として知られていたのが、付近にある匯美酒店の付属サウナだ。もちろん、3階にあったサウナは現在は完全に封鎖されており、エレベーター内にある館内説明からも省かれてしまっている。1泊は260元(約4200円)ほどだが、激安特価で168元(約2700円)の部屋があるとのことで、泊まってみたら仰天した。

匯美酒店の168元の部屋。奥にあるのはシャワールームで、ガラス張りなのでベッド側からすべてが丸見えである。2019年1月安田撮影

 壁のほとんどがガラス張り、ベッドの天井もガラス張りである。部屋は妙に薄暗く、なんとか明るくならないかと枕元のスイッチをいじり回したところ、明るくなるかわりに扇情的になってしまった。例によって部屋の面積は無駄に広いが、ビジネスデスクはない。

 この部屋があるのは4階だ。どうやら往年は、3階にあるサウナで男性客がお姉さんを選んでから向かうプレイルームとして使われていた部屋らしい。ホテル側は、サウナは潰れたがプレイルームを空けっ放しにするのももったいないので、改装せずにそのまま客に貸し出しているのである(なお、チェックイン時にそうした事情の説明は一切ない)。

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室内にあった、ものすごくダイナミックな日本語で書かれたホテルのガイド。かつては日本人の「お客樣ハ」も多かったのだ。2019年1月安田撮影

 部屋に携帯電話の充電器を持ってきてくれた50代くらいのボーイに、嫖客のフリをして「いまは遊べないのか?」と尋ねてみたところ「お客さん、ずいぶんながいこと東莞に来ていないんですね」と呆れられた。東莞の性産業は、ごく一部のコールガールなどが地下に潜っている以外は完全に壊滅し、いまや他の都市よりも規制が厳しいようである。