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(1)性産業の代名詞的存在だった「君悦大酒店」
当時、東莞の性産業の代名詞的な存在として知られていたのが、東莞の繁華街・常平鎮の中心部にある君悦大酒店の3階に併設されていたサウナだ。香港人客が多かったが(これは往年の東莞の全体でそうである)、日本人の間でも有名だったらしく、「君悦大酒店 サウナ」などで検索をかけると、海外夜遊びマニアのダメなブログやSNSの書き込みを大量に見つけることができる。
そこで、現在の君悦大酒店がどうなっているのか知るため、実際に泊まってみることにした。1泊は200元(約3200円)弱。四つ星レベルぐらいのホテルにもかかわらず、なぜかブッキングドットコムなどの大手旅行サイトでは宿泊予約ができず、レセプションで直接手続きをおこなった。中国のホテルで、飛び入りで宿泊したのは5年ぶりぐらいである。
さっそく、かつてサウナが入っていたとされる3階に突撃してみると、フロアの左半分が完全にゴースト化していた。サウナ摘発による来客減のせいで景気が悪いのか、閉鎖されてから5年も経ったのに、何の改装もしていないようだ。ちなみにフロアの右半分は健全な足裏マッサージ店で、ホテル内の案内などもこちらの店舗だけを強調する形になっている。
君悦大酒店と匯美酒店(後述)の間にある小公園の石のゲートは、2014年3月に取材したときは何も書かれていなかったが、今回行ってみると習近平政権のスローガンの社会主義核心価値観に染め上げられていた。かつては左手に君悦大酒店のサウナ、右手に匯美酒店のサウナ、奥にもサウナ……と、エロ施設のなかに公園がぽつんと浮かんでいるような状態だったのだが、すっかり品行方正な場所に変わっている。