シンガポールでの“ショー”から8カ月。

 2月27日、28日、ベトナム・ハノイで行われる予定の第2回米朝首脳会談を巡る動きが慌ただしくなってきた。米朝の関係者が続々現地入りし、金正恩労働党委員長の執事といわれる人物が会談とは関係のないサムスンのベトナム工場周辺を視察する姿などもキャッチされている。

韓国国内での前回の米朝首脳会談の報道の様子 ©Getty Images

 前回の会談の目玉は、「CVID」(完全な非核化)だったが、いつの間にかこの4文字は立ち消えて、最近、トランプ大統領は、「焦っていない。われわれはただ(核・ミサイル)実験を願わないだけ」(15日)と語り始めるなど、「核凍結や大陸間弾道ミサイル(ICBM)除去のみのスモールディールになるのではないか」という懸念も広まっている。

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 こんな状況の中、韓国では保守・中道と進歩系メディアの論調はまっぷたつに分かれている。

韓保守紙「なくしたのは北朝鮮の核ではなく韓米合同演習」

 保守系の朝鮮日報は社説(18日)で、トランプ大統領の上記の発言を警戒し、「トランプは第1回首脳会談の直前に『北朝鮮の核兵器を早い時期になくさせる』と大言壮語したが、なくしたのは北朝鮮の核ではなく韓米合同演習だった」と皮肉り、トランプ米大統領は、「(米国に脅威とならない)核実験のみを防いで、大統領選挙用にこの成果をどう誇張するかにだけ執心している。このままでは北朝鮮は本当に核保有国になる」と警鐘を鳴らした。

昨年9月、平壌で行われた第2回南北首脳会談、「非核化口頭での合意の可能性」の文字が(中央日報)©Getty Images

 中道寄りの中央日報は、「制裁緩和の対価としていい結果を得るのがわれわれの意図するところ」というポンペオ国務長官の言葉を引き、性急な制裁緩和を警告してきたビーガン米対北特別代表ですら柔軟な態度に変わったとして、「北朝鮮が主張してきた段階的な非核化を事実上、米国政府も受け入れた」と書いた。さらに、「第2回米朝首脳会談を前に韓国政府の性急な対北制裁緩和を心配し警戒する声が大きくなっている」(同日)と南北交流に前のめりになっている韓国政府を牽制した。