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文大統領からはすでに対北制裁緩和をにらんだ発言が

 文在寅大統領は、「第2回米朝首脳会談で非核化と米朝正常化において大きな進展があると展望している」(東亜日報2月19日)「南北間の経済協力が始まるならまずすぐにできる金剛山観光」(同)などと語り、トランプ米大統領との電話会談では、「米国が要求すれば南北経済協力を担う覚悟はある」(中央日報2月20日)とすでに制裁緩和をにらんだ発言もしている。この翌日には、青瓦台も、「今までは制裁緩和を韓国が米国に要請する格好だったが、今は文大統領がトランプ大統領が使えるカードを増やせるという意味」(朝鮮日報2月21日)と補足も加えていた。

2019年2月19日、青瓦台でトランプ米大統領と電話会談する文在寅韓国大統領 ©Getty Images

 中道寄りの韓国紙記者は言う。

「韓国政府は開城工業団地や金剛山観光を再開したくてうずうずしています。

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 南北交流はいいですが、忘れてならないのは韓国は北朝鮮の核を隣に置いている状況にあるということ。北朝鮮を核保有国として認めることは絶対にあってはならない。

ソウル市庁に掲げられた2032年ソウル平壌オリンピックの垂れ幕。「ソウルと平壌が手をとりあい(中略)ソウル平壌夏季オリンピック共同誘致へ最善を尽くします 」などと書かれている(著者提供)

 トランプ大統領は米国に届くICBMを破棄さえすれば、米国への脅威さえなくなればそれでいいと思っている節がありますが、短・中距離ミサイルは日本、韓国を巻き込みます。日本だってだまっていないでしょう。そうなれば、ただでさえ、今、党代表選挙をしている最大野党の自由韓国党の有力候補者は核武装論を唱えていますから、韓国内でも核開発の声が強くなるのは必至です。

 進歩系は同胞には核は使わないと楽観しながら、南北交流は別に早く進めようと声を上げていますが、拙速です。

 もちろん、トランプ大統領の決断だけで制裁解除がなされるわけではありませんが、韓国政府も非核化については厳格にのぞむべきです」

韓進歩系紙は北『労働新聞』のとある記事に注目

 一方、進歩系のハンギョレ新聞や京郷新聞はトランプ大統領やビーガン対北特別代表の発言よりも北朝鮮の『労働新聞』のとある記事に注目した。

 ハンギョレ新聞は、「注目に値する労働新聞『金正恩非核化の決断』報道」という社説(18日)で、「労働新聞がこれほど金委員長の非核化の決断の意味を詳細に解説し分析するのは初めてのことだ」として、「朝米いずれも決然たる姿勢で交渉に臨み、『非核化と相応処置(対北制裁緩和)交換』のもっともよい組み合わせをひきだすことを望む」と北朝鮮の非核化の意志は固いと評した。

 また、京郷新聞も同じ記事を非核化の意志を表したものだとして、「北朝鮮の非核化をこれ以上、疑うなと北朝鮮住民と国際社会に宣言したようなもの」と綴り、「米国など国際社会は北朝鮮が送る非核化の意志とサインを評価する必要がある」としている。