「朝鮮半島非核化」の本当の意味は?
両紙が注目した記事のタイトルは、「金正恩将軍、平和の新しい歴史を書く」。なかで非核化の決断をアレキサンドロス大王の伝説の一つ、「ゴルディアスの結び目」に例えている。「ゴルディアスの結び目」とは、アレキサンドロス大王が解けない結び目を刀で断ち切ったことから、難問を大胆な方法で解決するという比喩だが、問題は同記事が「北朝鮮の非核化」ではなく「朝鮮半島の非核化」について論じていることだ。
2016年に韓国に亡命した太永浩・駐英北朝鮮元公使は、「北朝鮮が追求する『朝鮮半島の非核化』は、朝鮮半島はもちろんその周辺すべて核の脅威とされる要因を排除することである」と解説する。つまり、先の記事でいう「非核化」は駐韓米軍撤収をも意味していることになる。
記事のメッセージは「仇を跪かせているので心配することはない」
太元公使は19日、ソウルの外国人記者クラブで記者会見を行い、「北朝鮮は第2のパキスタンを狙っている」として、「第2回米朝首脳会談では、北朝鮮が保有している核、計画している(未来の)核すべてを放棄することとNPTとIAEAに復帰することを明言させなければならない」と訴えた。
太元公使はまた、「金委員長の非核化の意志が固い」とした先の記事については、「南北関係、米朝関係において新しい変化が起きていることは北朝鮮が核を保有することにより力のバランスがとれたためであり、金正恩は強力な平和攻勢で仇(かたき)を跪(ひざまず)かせているので心配することはないという内容」と分析している。
隠される当初の目標「完全な非核化」
さまざまな展望が飛び交うが、2020年の大統領選挙再選に向けて功を急ぐトランプ米大統領は北朝鮮に連絡所を設けるなどのにんじんをぶら下げ始めており、やはり懸念されるようなスモールディールを選択することになるのか。また、一方の金正恩党委員長は寧辺核施設査察や破棄以外にどんなサプライズを見せるのか。いずれにしても核放棄の目眩まし、だが……。
それにしても、非核化がなされていない時点でのノーベル平和賞話って一体、なんの話なのだろう?