「足を入れた瞬間の心地よさ」≠「履きやすさ」
そもそも、「履きやすいから」という理由でムートンブーツを選ぶ人は、日常生活で足の疲れを自覚しているのではないか。外反母趾や巻き爪、ウオノメのせいで痛みが出たり、ふくらはぎがパンパンに張って、夜中に足がつったり……。これらの不調は足の骨格構造の崩れによって起きるもの。つまりは、30代後半からはじまる“足の経年劣化”で、その骨格のゆがみは年齢を重ねるにつれて悪化するという。
それだけではない。10代や20代の若い世代にも、足の骨格構造が崩れた「弱い足」の日本人が増えていると、足の専門医や理学療法士は口を揃える。だからこそ自分に合った「いい靴」で足をしっかりと支え、骨格構造の崩れを食い止める必要があるのだが、残念なことに、まちがった靴を選んでしまう人が少なくない。足の不調を自覚している人が、足によかれとムートンブーツを愛用するのは、その一例だ。
ほとんどの人が「足を入れた瞬間の心地良さ」を「履きやすさ」だと勘違いしているのである。
日本人の7割に「足首のゆがみ」が
たかが靴とあなどるなかれ。足は全身の土台。土台がブレることで、身体全体のバランスも崩れる。また、足の専門医によれば、日本人の7割は、くるぶしの下にある距骨下関節が内側に倒れた「過回内」の状態になっているという。
靴底がかかとの内側だけ減っている人は要注意。その足首のゆがみが膝はもちろん、骨盤、頸椎にも作用して、ひざ痛、腰痛、肩こり、頭痛など、さまざまな不調を招く。足首の安定しないムートンブーツは、それを悪化させる可能性があるのだ。
かかと部分が自分の足にぴったり合ってゆるみがないこと、足首をしっかり支えてくれる硬さと強度があること――ムートンブーツに限らず、これらはすべての靴に共通する重要なチェックポイントといえる。
#2へ続く