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EEEの幅広「健康シューズ」は健康によくない!?

目からウロコの靴選び 2

 世の女性の、靴に関する “あるある”の代表格が、歩くとかかとがスポッと抜けるパンプスだ。「えっ、抜けないパンプスなんてないでしょ?」と、あまり気にしていない人も多いのでは? 何を隠そう、数年前までのわたしも、そんなふうに考えていたひとりだ。

 横断歩道を渡っていると信号がチカチカ。あせって駆け出したところ、靴が脱げてポーンと飛んでいってしまった、な~んて笑い話は数知れず。靴ずれでかかとには生傷が絶えず、バッグには絆創膏を常備。ドラッグストアなどで「ジェルパッド」「かかとクッション」の類を何種類も買い込んでは自己流に調整し、なんとかやり過ごしていたのである。

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 年齢とともにヒールがつらくなり、「足にやさしい」というふれ込みの「コンフォートシューズ」を試したこともある。そういう靴は幅広のEEEばかりで、さらにゆるゆる。脱げないように、ストラップ付きのデザインを選ぶしかなかったが、「この靴なら、足に負担がかからないはず」と信じて履いていたのである。

 そんなわたしが、靴選びの間違いに気づいたきっかけは、交通事故にあったこと。手術後のリハビリで、靴が足に合っていない事実を、生まれて初めて指摘されたのだ。

合わない靴が肩こりや頭痛、顎関節症の原因に

 そう、パカパカ抜けるゆるめの靴は、じつはとっても危険! 足は空中では細くなるので、歩き出すと、ゆるい靴がさらにブカブカになる。するとどうなるか。靴の中で足が前にすべり、指が靴の先に押し込まれる。それが痛みや指の変形につながり、歩き方も不自然になるというわけだ。大きめの靴はかかと周りもゆるいため、歩くたびに足首がグラグラする。以前のわたしが、歩いている途中でバランスを崩し、しょっちゅうよろけていたのも無理のないこと……。こうした問題が、前回もふれた「足の骨格構造の崩れ」を招き、ひいては身体全体に負担をかけるのだ。

 くわしく説明しよう。人間は、足裏のわずかな面積で身体全体の重みを支え、バランスを取っている。縦2本、横1本の3本のアーチ構造によって巧みに身体を支え、歩行時の地面からの衝撃を吸収しているのだ。だが、合わない靴を履き続けると、この骨格構造にゆがみが生じて、アーチの強度が落ちる。すると足元がグラつき、着地のときの衝撃がうまく吸収できずに、ひざや腰に過剰な負担がかかってしまう。肩こりや頭痛、場合によっては顎関節症まで引き起こすというから驚きである。

足のアーチ構造 「足のクリニック表参道」提供資料を基に作成