今年もインフルエンザが猛威をふるっています。そんな中、1月22日の朝、痛ましい事故が起こりました。東京の日比谷線中目黒駅で、出勤途中とみられる会社員の女性(37)が、ホームから落ち、電車にひかれて亡くなったのです。
女性は転落する前、ホーム上をふらつきながら歩いていたそうです。体からインフルエンザウイルスが検出されたことから、体調不良で転落したものとみられています。
この情報だけで、女性がインフルエンザのために高熱を発し、意識がもうろうとしていたと断定することはできません。ですが、もしかすると家を出る前から調子が悪かったのに、無理をして出勤しようとしたのかもしれません。そう思うと、余計に心が痛みます。
「インフルエンザにかかって申し訳ない」という風潮
読者の中にも、のどが痛く熱っぽい感じがするのに、「休めないから」「同僚に申し訳ないから」と無理をして出勤した経験のある人は多いのではないでしょうか。
また、テレビやネットは「インフルエンザをいかに防ぐか」といった情報ばかり流しています。まるで「インフルエンザにかかる方が悪い」と言わんばかりです。インフルエンザにかかったら、「迷惑をかけて申し訳ない」と思っている人も多くいるのではないでしょうか。
もちろん、インフルエンザを予防することは大切です。とくに抵抗力が弱い乳幼児や高齢者、妊娠中の人、持病のある人、試験を控えた受験生などは、インフルエンザにかかると大変です。こうした人たちを守るために、本人だけでなく家族など周りも含め、できるだけ感染のリスクを下げたほうがいいに決まっています。
でも、インフルエンザを完全に防御することは、今のところできません。インフルエンザにかかりたくないと思っていても、かかるときにはかかります。ですから、インフルエンザにかかっても「申し訳ない」なんて思う必要はないのです。