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整体、鍼灸……あらゆるものを試しても効果がなかった痛みが消えた

 靴が腰痛や頭痛の原因になるなんて信じられない、という向きには、こんな例を紹介したい――10代の頃から筋金入りの腰痛持ち。ぎっくり腰で立てなくなって、数日寝込んだことが何度もある。カイロや整体、鍼灸、指圧、ピラティスなど、あらゆるものを試してもよくならなかったその痛みが、靴や歩き方を見直したことでウソのように軽くなり、身体のメンテナンス費用もほぼゼロに。いやあ、めでたし、めでたし……。

 絵に描いたような、その体験の持ち主は、ほかでもないわたし自身である。

 すべての元凶は、足に合っていない靴を、そうとは知らずに履いていたこと。わたしの足はかなり細いので、デパートなどで売っている靴ではゆるすぎたのだ。そこで、きちんと足のサイズ(足の長さと太さ、幅など)を測り、苦労の末、自分にぴったりの細い幅の靴を手に入れたところ、腰痛が大幅に改善したというわけ。このあたりの紆余曲折は、拙著『健康長寿は靴で決まる』にくわしい。かつてのわたしと同じように、パカパカ抜ける靴をだましだまし履き続けている人は、ぜひ参考にしてほしい。

「幅広の靴は履きやすく、足にやさしい」は大間違い!

 腰痛のない毎日は、まさに夢のよう! とはいえ、「靴を替えただけで、これほど身体が変わるのか」と、ちょっぴりいぶかしむ気持ちもあったのだが、先日、そんな疑念を吹き飛ばす、驚愕の出来事が起こった。

「短い時間なら大丈夫だろう」と、以前に履いていたショートブーツ(比較的細めの靴だったため、捨てずに持っていた)を履いて出かけたところ、片道15分の道を往復しただけで、翌日からものすごい筋肉痛に苦しめられたのだ。悪夢のような腰痛もぶり返し、「やはり腰痛の原因は靴だったのか!」と再認識した次第。ゆるい靴を履くことが、これほどまでに身体に負担をかけることを、久々の腰痛の痛みとともに、しかと理解したわけだ。

 だが困ったことに、多くの人はまったく逆のことを信じている。「ゆったりした幅広の靴は履きやすく、足にやさしい」。そんな通説が、思いの外、世間に浸透しているのだ。

EEE以上の日本女性は2割だけ

 靴売り場に並んでいるのは幅広のEEEの靴が中心。「健康靴」「コンフォートシューズ」のコーナーには、さらに幅の広いEEEEも見かける。もちろん、そのサイズがほんとうに足に合っていれば何の問題もないが、わたしのように細い足の人が「ゆったり靴のほうが、足が疲れない」と思い込み、ブカブカの靴を履き続けたら……。

 俗に「日本人の足は甲高幅広」などと言われるが、現在のアラフィフ以下の世代では、甲が薄く幅の狭い足の人がかなり増えているという。2008年に日本皮革産業連合会が行った調査でも、EEE以上の幅広の人は日本女性の約2割にすぎない。

 一般的に、日本の靴店では足の計測をしないうえ、販売員にも足の専門的な知識が不足している。「健康のために」と選んだ靴で健康を損ねる、という悲劇を避けるためにも、まずは自分の足の正確なサイズを知っておくことをお勧めしたい。

#1より続く)

健康長寿は靴で決まる (文春新書)

かじやま すみこ

文藝春秋

2018年10月19日 発売

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