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歯周病を最短1日で治せる「ごめんブラッシング」法とは?

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複数回に分けていた治療を1回にした結果

清水 保険申請の関係で、多くの医院での歯周病治療は、口腔内を6分割にして段階を追って治療を進めるため、6カ月から1年以上に及ぶ長期間の通院が必要です。治療自体も痛みをともなうものが多く、患者さんの中には、完治する前に治療を放棄・中断してしまう方が少なくありません。でも、患者さんにかかる通院の負担や心理的なストレスを考えると、やはり治療にかける期間は短いに越したことはありません。

 海外ではもともと口の中を4分割にして治療を進めるのが一般的でした。ところがヨーロッパの医師たちの中に4分の1を治療しているうちに、残りの4分の3から歯周病菌が移ってくるのではないかと考えた人がいた。そこで4回に分けていた治療を1回でやったところ、なんと治療結果に差がないことが証明されたのです。私が、保険診療の枠にとらわれず、最短1日で歯周病を治す「ペリオド」を打ち出したのには、そうした背景があります。

最短1日で治す方法

――どうやって1日で治すのでしょうか。

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清水 まず前提となる状況からお話しすると、一般的な保険治療においては、歯周ポケット内の歯垢を除去するために、よくルートプレーニング(歯の根っこの表面の滑沢化)というのが行われています。これは歯垢が歯根の表面につくと、歯根のセメント質が細菌の毒素によって壊死してしまうという考え方からきています。だからセメント質をとってしまうのですが、そうすると象牙質という2層目がむき出しになって知覚過敏を起こします。従来それは歯周病治療で仕方のない副作用だと考えられていました。しかし今は研究が進んでいて、歯の根っこの細菌の毒素は生理食塩水で流すだけで99%除去できることが分かっています。

 当院では、歯根表面にこびりついたプラークだけを選択的に取り除く「デブライドメント」を行っています。現存する医療機器の中でもっとも歯ぐきへの負担の少ないエアフローマスター・ペリオフローを使って、超微細なアミノ酸の高圧噴射でプラークを取り除くため、無麻酔でもほとんど痛みをともないません。歯ぐきの退縮や知覚過敏のような副作用を引き起こすこともありません。

超微細なアミノ酸の高圧噴射でプラークを取り除く「エアフローマスターペリオフロー」 ©末永裕樹/文藝春秋