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「あいつが言うことは全部ウソ」 明石家さんまの師匠が語っていた弟子のこと

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趣味は水泳。全日本マスターズにも出場した ©共同通信社

 上方落語界の最長老で、明石家さんま(63)の師匠としても知られる笑福亭松之助が2月22日、老衰で亡くなった。93歳だった。

「1年ほど前から体調を崩し、入退院を繰り返していた。昨年末頃から寝たきりの状態になっていたが、見舞いに来たさんまに『帰れ! お前にこんな姿見せたない』と追い返すほど元気だったといいます」(吉本興業関係者)

 明るくとぼけた芸風で人気を博し、絶滅寸前だった上方落語の再興に尽力。やんちゃだった若き日のさんまを厳しく優しく、巧みに育て上げた。

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「仏教や禅に造詣が深く、修行中のさんまに内山興正や親鸞聖人の本をよく読ませていた。有名な『生きてるだけでまる儲け』というさんまの座右の銘は、師匠の『裸で生まれてきた人間が服1枚でも着てたら勝ちやぞ』という教えに由来しています」(同前)

 さんまが門を叩いたのは1974年、高校3年生のときだった。晩年、松之助は小誌の取材に対し、当時を振り返ってこう語っていた。

「京都花月の楽屋口で、『ちょっとちょっと』と後ろから声をかけられたんですわ。『弟子になりたい。あんたはセンスがよろしい』と。『おおきに』と言いましたけど(笑)」