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波紋を呼んだ「しかし国には国の民主主義がある

岩屋毅 防衛相
「沖縄には沖縄の民主主義があり、しかし国には国の民主主義がある。それぞれに、民意に対して責任を負っている」

沖縄タイムス+プラス 2月27日

 大きな波紋を呼んだ発言がこちら。岩屋毅防衛相は26日の記者会見で、上記のとおり語り、新基地建設を進めなければいけないという立場を主張した。

閣議後に記者会見する岩屋毅防衛相=22日、首相官邸 ©時事通信社

「沖縄の民意というのは私どもしっかり受け止めないといけない」と述べた岩屋氏だが、「一方、国も民主的に選挙された国会によって内閣が構成され、時の政権は日本の国の安全保障という大きな責任を負っているわけで、私どもはその責任もしっかり果たしていかないといけない」という持論を展開してみせた。

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 岩屋氏は「沖縄の民主主義」と「国の民主主義」は違うと言っているようなものだ。沖縄は日本の一部ではないのだろうか? 岩屋氏の発言は「辺野古反対」という「沖縄の民主主義」の結果は横に置いておいて、「国の民主主義」である総選挙で勝利した自分たちの好きなようにやらせてもらう、という宣言のように聞こえる。先日、安倍晋三首相が飛ばした「選挙に5回勝っている」というヤジとも通じている。

県民投票の結果を本当に「真摯に受け止めている」のか

「真摯に受け止める」と繰り返しながらも、安倍政権は沖縄県民投票の結果にまともに取り合う様子は見せない。中日新聞の社説は「安倍政権にとり『真摯に受け止める』は『無視する』と同義らしい。沖縄県民投票で、辺野古埋め立てに鮮明な反対の民意が示されても新基地工事は止まらない。それでも民主主義国といえるのか」と痛烈に批判してみせた(2月27日)。

 朝日新聞の社説も「日米合意や安全保障上の必要性を強調し、明白な民意を無視し続ける姿勢は、日本の民主主義を危機に陥れている」と民主主義の危機を訴えている(2月26日)。

 沖縄で取材を続けていた評論家の荻上チキ氏は県民投票に関して、「民主主義の形式を守るという点では成功事例」とした上で「結果を国政が受け止めて、適正なリアクションをしてこそ、民主主義が完成する」と述べた(沖縄タイムス+プラス 2月26日)。

 政府が県民投票の結果を受け止めて適正なリアクションをしようとしない現在、日本の民主主義は危機状態に陥ったままということになる。