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2019/03/03

なぜ「ホラー」を「サスペンス」として宣伝するのか

「大好きなあの映画の宣伝が、内容とまったく噛み合っていない!」――映画ファンにとっては“あるある”なこんな嘆きも、日本の映画ビジネスの構造が関わっていそうです。

 日本では、

- 劇場公開からの収入を支えるのは、ライトな映画ファン
-ブルーレイやDVDからの収入を支えるのは、ちょっとコアな映画ファン

 と言われており、従って同じ映画でも売り方を変えることがあります。


 たとえば2012年に公開されたリドリー・スコット監督の『プロメテウス』という映画。僕にとってはエイリアン映画なのですが、劇場公開の宣伝の際は、ライトな映画ファン層を意識して、エイリアン色を排し、宇宙版『ダ・ヴィンチ・コード』的なミステリー・ロマンの顔つきしていましたよね。「人類はどこから来たのか。」みたいなメッセージで。

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 ところがブルーレイやDVDの宣伝では、“エイリアン前日談”ということでエイリアン・シリーズの一つであることを強調していたのです。

 同じ怖い映画でも、それをサスペンスと呼ぶか、ホラーと呼ぶかの違いもあるそうで、サスペンスといった方が、ホラーよりも間口が広い。よって、あえてホラー映画を「サスペンス」として宣伝することもあるようです。

邦題が原題を超えるとき

 原題と異なる邦題をつけるのは、原題ないし原題を訳したままだと、その内容が日本人にうまく伝わらないと判断した場合の対応でしょう。

 もちろんこの邦題はどうかなと思うものもありますが、邦題が原題を超えることもあるのではないかと。

 個人的に原題とはちがうけれど、いい邦題だったのは『死霊のはらわた』(原題はThe Evil Dead、1981年公開のアメリカのスプラッター映画)。あの映画の勢いととんでもなさ(いい意味です)をうまく表していたと思います。