児童向けコンテンツがグローバル・ヒットしやすい理由
正真正銘バイラル・ヒットとなった童謡『Baby Shark』だが、児童向け楽曲はグローバル・ヒットを生みやすいジャンルのようだ。一例には、日本でも定番となっている『ハッピーバースデートゥーユー』がある。アメリカの幼稚園の校長がつくった童謡アレンジに過ぎなかったこの曲は、口コミ、映画、ラジオによって世界中に普及した、今で言うバイラル・ソングだ。
ペンシルバニア州立大学で現代児童文化史を研究するゲイリー・クロス教授がstuffに語ったところによると、幼い子どもたちは、成人よりも思考が特定文化にとらわれていない。それゆえ『Baby Shark』のような子供が好むシンプルな楽曲は、適切なテクノロジーを介しさえすれば、容易に世界中に広がっていくのだという。2016年のピコ太郎の楽曲「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」の流行にも、こうした背景があったのかもしれない。
今日、多くの幼児たちは、YouTubeやiPadを操作してお気に入りの歌を何度も再生できる。もしかしたら、昔以上に世界的なキッズ向けヒット・ソングが生まれやすい状況かもしれない。
日米二強状態の児童向けコンテンツ市場に食い込む韓国
こうした「グローバルな児童向けコンテンツ」市場において巨大な商業的成功を手にしてきた2つの大国が、アメリカと日本だ。1980年代以降、ハローキティや任天堂といったジャパニーズ・コンテンツは世界を魅了しつづけてきた。ハリウッドやディズニーを抱えるアメリカも、コンテンツ大国であることは言うまでもないだろう。
その任天堂とハリウッドがタッグを組んだ2019年公開映画『名探偵ピカチュウ』は、世界的ヒットが約束されたも同然とばかりに予告編ひとつでSNSの話題を独占してみせた。
そんな日米が二大巨頭とされてきた児童向けコンテンツ市場において、『Baby Shark』を輩出した韓国の存在感が近年増している。