どれほど痛みがあっても闘い続けてほしい
──『記者たち』の中で大きな要素となった新聞というメディアについて、監督はその可能性をどのように考えますか? 紙媒体としての新聞は、ネット・ジャーナリズムの台頭とともに厳しい局面に立たされていますが。
RR 紙媒体のメディアはどんどん数が減少していて、はっきりいえば死に向かっていると言えますね。自分も『ニューヨーク・タイムズ』を購読しているけれど、すでにオンライン版に切り替えているので心苦しいのですが。大事なのは、紙の新聞をつくってきた記者たちの姿勢や気概が、媒体が変わっても生き残っていくかどうか。ネットという媒体は、とても助けにもなる一方で、人と人を遠ざけるような力も持ってしまう。特にネットはミームによって印象を操作するのがうまい。大事なのは、そういったわかりやすい効果に惑わされず、何も手を入れられていない真実の報道をどうやって展開できるのか。誠実でフィルターやバイアスがかからない報道が、今後も続いていってほしいですね。
──最後に、日本のジャーナリストたちに向けたメッセージを。
RR 闘い続けて。とにかくそれだけです。私たち市民が自分を守る唯一の方法は、真実を知ることであり、それを伝えるのがジャーナリズムの役目。日本でも、核武装をめぐる論議など、様々な論議があることを私も知っています。戦争、侵攻、こういった問題の審議が必要となるときこそ、真実が必要とされます。そうでなければイラク侵攻のような悲劇が生まれかねない。だからどれほど痛みがあろうが、闘い続けてください。
Robert “Rob” Reiner/1947年アメリカ合衆国ニューヨーク市生まれ。子役として活躍の後、映画監督に。『スタンド・バイ・ミー』(86)、『恋人たちの予感』(89)、『最高の人生の見つけ方』(07)など話題作を次々世に送り出した。今作ではナイト・リッダー社のワシントン支局長を自身で演じている。
INFORMATION
『記者たち 衝撃と畏怖の真実』
3月29日(金)よりTOHOシネマズシャンテ他にて全国公開
http://reporters-movie.jp/
取材・文 月永理絵