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NYタイムズも盲信したアメリカ政府の嘘を、ただ一社暴いた“弱小”新聞記者たちの闘い

映画監督 ロブ・ライナー インタビュー

2019/03/28

ふだんからTwitterでもトランプ政権のことをたくさん呟いているよ

──『LBJ』と『記者たち』と、政治的な作品がここ最近続いていますね。もちろん、大統領の恋愛模様を描いた『アメリカン・プレジデント』という作品も過去につくられていますが。もともと政治的なことを映画によって語りたいという思いがあったのでしょうか。

 

RR 今の自分がもっとも関心を持っているのが、こういうことなんです。アメリカで、そして世界中で、民主主義がかつてないほど攻撃されています。民主主義を守るため、今こそ立ち上がらなければ、自分に何ができるかと日々考えるうち、自然と政治的な作品が増えてきたんです。ふだんからTwitterでもトランプ政権のことをたくさん呟いているし、最高裁をテーマにした新作の企画も進めています。

──日本では、エンタテインメントの場での政治的な発言が敬遠されがちですし、映画においても、特に商業映画の分野では、今の政権を批判するような作品はほぼつくられていません。監督は、映画はもっと政治的であるべきだとお考えでしょうか。

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RR 映画が必ずしも政治的であるべきだとは思いませんよ。コメディや恋愛もの、アクションもの、アドベンチャーまで、映画にはいろんな作品があり、それぞれの場所があるんだから。そのなかに、政治的な考察を促す映画の場所もある。私もいろんな映画をつくってきたけれど、これまで一生をかけて考え続けてきたことを表現したいと思い、この映画をつくったんです。アメリカでも、政治色の強い作品はつくりにくいもの。特にこのタイプの映画の資金集めはとても大変です。映画業界も観客も、アクションスターが駆けずり回りジャンプして闘うような映画ばかりを好ましく思うのは事実だしね。とにかく、私は今の政治的な思いを映画にしていくつもりでいる。誰かに「ロブ、もういいかげんやめなさい」と言われるまではね。ただし、どんな映画であれ、映画にはある種の娯楽性が必要。『記者たち』にも笑いの要素はしっかり入っていると思いますよ。