「一体、この絵はどこまで本気で描いたのか?」と思わず聞きたくなる絵画が揃った展覧会、「へそまがり日本美術~禅画からヘタウマまで~」が開催される。日本美術といえば、尾形光琳の屏風絵、葛飾北斎の浮世絵などの「端正でデザイン感覚に優れた」作品群を連想しがち。だが、本展にはそのような正統派の枠から敢えて飛び出した、ゆるく、どこかとぼけた禅画、俳画、南画等が並ぶ。雪村周継、伊藤若冲、歌川国芳など有名画家からあまり知られていない画家たちの「へそまがりな感性」の所産の数々だ。

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 本展を企画したのが、学芸員の金子信久さん。

「間が抜けていたり、ひねりの効いたもの、表情が何ともいえないものなど、とにかく愉快な作品を多く集めました。『それはヘンでしょ』などとツッコミを入れながら鑑賞してもらえれば」

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 金子さんのイチ押しは、仙厓義梵(せんがいぎぼん)の「豊干(ぶかん)禅師・寒山拾得図屏風」。しかし美術好きの間では別の作品に熱い期待が寄せられているそうだ。

「それは三代将軍・徳川家光の『兎図』です。あらゆる価値観を超越した雰囲気を漂わせているところが魅力です」

 さて、上様はどんな兎を描いたのか? ぜひ実物を!

INFORMATION

『へそまがり日本美術~禅画からヘタウマまで~』
3月16日~5月12日 府中市美術館にて
http://fam-exhibition.com/hesoten/