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白いシルクのコートをお召しになった美智子さま

 そして、美智子さまのお召し物の中で忘れられないのは、2015年4月にパラオへ慰霊の旅をされた時にお召しになっていた白いスーツだ。最上級の慰霊のお気持ちを示されるように、潔いホワイトを選ばれた美智子さま。ご出発の日には、美智子さまは白いシルクのコートをお召しになっていて、3月下旬からお風邪を召されていたためにご体調が懸念されたが、穏やかな笑みを浮かべられながら御料車から手を振られていたことが思い出される。

2015年4月8日、パラオご訪問へと出発される天皇皇后両陛下 ©AFP=時事

 2017年9月の高麗神社ご訪問や、2018年5月に最後の「全国赤十字大会」へ出席された際にも同じスーツを少しアレンジしてお召しになっているようだ。ここ一番という時に、美智子さまがお召しになるお洋服には、さりげないけれども強いメッセージが込められているように思えてならない。

 このところ、美智子さまはベージュやグレーのようなニュアンスカラーのお召し物を身につけられることが多くなってきたと思っていただけに、生中継で拝見した桜色の美しいスーツに一層目を奪われたのだった。両陛下が一つひとつ大きな行事を終えられるお姿を拝見していると、天皇陛下が退位されるまでの日々をお二人で大切にお過ごしになっていることが窺えるように思う。

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2017年4月5日、スペイン国王夫妻の歓迎行事に臨まれる美智子さま ©JMPA

 陛下は、おことばのなかで「憲法で定められた象徴としての天皇像を模索する道は果てしなく遠く、これから先、私を継いでいく人たちが、次の時代、更に次の時代と象徴のあるべき姿を求め、先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています」とも仰り、「象徴像を補い続け」という表現で、次代への期待をにじませられた。