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2019/03/23

歯科医師選びにひと手間、ふた手間かけるべき

 こうしたことを防ぐため、歯科インプラント治療に携わる歯科医師らで構成される日本口腔インプラント学会では、専修医、専門医、指導医といった資格制度を設けている。現在日本には約10万人の歯科医師がいるなか、同学会に所属する歯科医師は約13,000人、そのうち専門医等の資格を持っているのは約1,300人だ。

 しかし、実際には現在日本国内では年間40~50万本近くの歯科インプラントが歯科器材メーカーから歯科医療施設に販売されている。今回の調査でも患者の43.8%がかかりつけの歯科医に、27.8%が自宅に近い歯科医にインプラント治療を委ねているのだ。

「資格を持たない歯科医師すべてが技術に問題があるとは言いませんが、資格を取得し、更新するにはかなりの勉強とトレーニングを要します。その意味では資格の有無が歯科医師選びの一つの基準にはなるでしょう。この資格は自院の看板やホームページで広告ができませんが、日本口腔インプラント学会のホームページから資格を持つ歯科医師を探すことは可能です」(宮﨑教授)

 中にはインプラントメーカーが開催する講習会に参加しただけの経験で、患者の顎にインプラントを埋め込んでいる歯科医師もいる。そして、現状においてそれに制限がかけられないのも事実だ。

 安くない額を払って治療を受け、相応の治療効果を望むなら、歯科医師選びにひと手間、ふた手間かけることを惜しむべきではないはずだ。

 健康長寿を実現する上で、「咀嚼」は必要不可欠な機能。その大切な機能を取り戻すには、患者自身が賢くなり、正しい知識と選択眼を持って歯科治療と向き合うべきだろう。

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■歯科インプラント治療を受ける際に知っておきたい歯科医選びの基準

(1)術前の説明で、インプラント治療によって起き得る患者にとってのデメリットも説明する

(2)術前の説明でインプラント以外の治療法についても説明し、インプラントだけに誘導しない

(3)インプラントだけでなく、口腔内全体の検査を行い、治療計画を立ててくれる

(4)口腔内のことだけでなく、高血圧や糖尿病など全身疾患との関連についても意識を向けてくれる

(5)術前の説明内容を口頭だけでなく、文書に残して手渡してくれる

(6)術前の画像検査で、顎の骨の状態を多角的に検証して説明してくれる。もしくはCTによる3次元解析をする

(7)歯周病やむし歯治療などの一般歯科にも対応している

(8)明朗で納得できる価格設定

(9)術後のフォローアップ体制がしっかりしている(万一のトラブル発生時の対応など)

(10)日本口腔インプラント学会の認定医専門医などの有資格者

(11)感染予防に配慮した清潔な治療空間が完備されている

(12)患者1人に対して複数の歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士などによるチーム医療体制が構築されている

(13)「おくすり手帳」の歯科インプラント版ともいえる「口腔インプラント手帳」を発行してくれる(ここにその患者のインプラント治療に関するあらゆる情報が記載され、後日別の施設にかかった時に情報を共有できる)

(14)誇大な表現、安売りを強調する表現の広告には要注意

(15)患者自身と相性が合う(信頼できて、長く付き合える)

※以上すべてを網羅していなくても、歯科医選びの「目安」として知っておいてほしい(宮﨑教授への取材をもとに筆者が作成した)

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