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星稜、智弁和歌山……今年のセンバツと楽天イーグルスの奇妙な共通点

文春野球コラム ペナントレース2019

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 さぁ、待ちに待ったプロ野球の開幕です! 全球団のファンの皆さんが優勝や日本一など最高の結末の事だけを想像し、語り合うこの時期が結構幸せだったりしますよねー。しっかりと現実が突きつけられる数カ月後にも笑っていたいもんです。そして僕にとっては大好きなセンバツ高校野球の開催期間中でもあり、ダブルの幸せが訪れています。きっと神様は幸せすぎるのは良くないと山々から大量の粉を運んで来てくれているんだと思うんだよねっ。うんきっとそうだねっ。

 さて、3月23日に開幕した第91回選抜高校野球大会も盛り上がりをみせ連日球場に足を運んでいるが、試合が終わると合間にイーグルス情報を調べたり、ネットで動画をみたりそしてまた高校野球を観る。こんなミルフィーユ観戦の結果、選抜高校野球と今年の楽天イーグルスのとんでもない共通の注目点を見つけてしまったではないか!

 という事でご紹介したいと思う。

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今年は星稜高校に注目だぁ!

 今大会の優勝候補筆頭と言っても過言ではないチーム。

 エース奥川恭伸は150キロを越えるストレートにスライダー、カーブ、チェンジアップなど多彩な変化球のキレ、精度も抜群。初戦では決勝戦でもおかしくないカードと言われた大会屈指の打撃のチームから17奪三振完封勝利。そしてその奥川をリードするキャッチャー山瀬慎之助も相手バッターのことごとく裏をかくリードにバッティングも素晴らしい。他にも赤星憲広さん一押しの俊足好打の東海林航介や4番の内山壮真など楽しみな選手がゴロゴロいる。

 一方、楽天イーグルスでの星稜といえば、そう島内宏明選手だ(星稜高校出身)。今シーズンは開幕で平石監督が4番島内を明言している。一発を警戒される4番ではないが、3番の浅村栄斗選手が勝負をさけられた時に、確実性がありチャンスに強い選手を置きたいのだろう。ウィーラー選手の春先の調子を考えると充分に納得はできる。さらに島内選手が繋ぐ事でウィーラー、銀次、ブラッシュもしくは内田靖人と第2クリンナップが待ち構えている。なんとも頼もしいではないか! 「4番島内」は今シーズンの重要なポイントになる。

開幕で平石監督が4番を明言している島内宏明 ©文藝春秋

平石監督と元楽天・中谷監督のタクトに注目!

 もちろん平石洋介監督の事である。4番島内ももちろんだが、則本昂大投手の復帰まではショートスターターPlanも考えにあるのだとか。先発投手に打者一巡の3回を任せ、続いて第2先発に再び打者一巡を任せ、勝利の方程式に繋ぐ、オールスターゲームのような贅沢な使い方である。投手の負担と、勝ち投手の権利など色々乗り越えるハードルはあるが、安樂、菅原、近藤、西口、森など殻を破れば化ける投手が沢山いるだけに、第2先発で好投を続け、ローテーションに割り込んでくれればこんなに頼もしい事はない。外野手島内、田中とあと一枠は辰己涼介選手なのかオコエ瑠偉選手なのか他の選手なのか、ショートは誰なのか、平石監督のタクトに注目が集まる。

 一方高校野球での元楽天イーグルス選手とは智弁和歌山・中谷仁監督の事である。2011年白樺学園に勝利して以来、甲子園の勝利から遠のいていた智弁和歌山が2017年に中谷氏がチームに帯同するやいなや夏の選手権で6年ぶりに勝利する。その夏から4期連続で甲子園出場はもはや偶然ではない。何度やっても勝てなかった大阪桐蔭に昨秋の近畿大会で勝利。実際は別のチームにはなっていたが、恩師の雪辱を晴らした。自ら投手の球を受けながら「田中マー君のストレートに似てるぞっ」。実際受けていただけに説得力もあり、選手をのせるのもうまい。「私には出来ない指導法ですわ」とその手腕に名将高嶋仁元監督も舌を巻く。昨年選抜準優勝のピッチャー、キャッチャー、二遊間がそのまま残り、自信を持って望む今大会、新監督のタクトに注目しなければならない。

 最後はこれだ!

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