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「“エース”といわれる存在になりたい」

 また、2017年に初めて肩の怪我をして以来、長きにわたって苦しみ続けてきた。「なんでこんなに力が入らないんだろう」。経験したこともない感覚に戸惑い、同じ肩の故障を経験している菊池投手にたびたびアドバイスを求めた。昨年、前エースがそのアドバイスについて話をしてくれたことがあった。

「肩をケガして、結果が出なくて、と、僕の4年目までと同じような境遇をしてるので、気持ちがよくわかるんです。光成もリハビリを長くやっているので、インナーの強さなど、機能自体は戻っていると思います。でも、いざ投げようとすると、リハビリではできないぐらいの負荷がかかるんです。次のステップとして、怖さを取り除くために、トレーニングで脳にアプローチしてあげる必要がある。いくら機能が99%回復していても、1%の不安を取り除かない限り、完治したことにはならない。キャッチボールなどで少しでも『あっ』と気になると、それを回避するような腕の上げ方をして、違うところが張ってと、悪いパターンに入ります。そして、フォームがどんどん小さくなって、二次災害、三次災害になる。今、光成はそれと戦っている気がします。でも、それは誰もが通る道。これを乗り越えた来年以降が楽しみ。僕は、これまで何回も肩のケガを経験してきたからこそ、全てを伝えたいんです」

 こうした金言を支えに、地道にリハビリ、トレーニングを積み重ねてきた。その間に戦ってきた苦悩や焦燥感の1つ1つが、いま、本物の自信へと変わリつつある。「フィジカル面、メンタル面ともバックアップ的には完璧。本当にいろいろやっているので、怪我をせず一年間ローテーションを守れれば、ある程度良い結果が出る自信が、今年はあります!」。

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「僕の代わりに、光成、楽しみにしててください!」。そう言って海を渡った日本人最高左腕の言葉に偽りはなかった。自らの手で2年ぶりの開幕ローテーション入りを掴み、「雄星さんからも、『一年間しっかりローテーション守れよ』と言ってもらいました。恩返しのためにも、しっかりと一年間投げて、“エース”といわれる存在になりたい」。名実ともに菊池投手の後継者となる日の訪れが、今からとても待ち遠しい。

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