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プロ7年目「今年こそ」 1軍に昇格したソフトバンク・美間優槻の決意

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/04/12

 開幕から引き分け挟んで5連勝したこともあり現在首位(タイ)! 最高のスタート【奪Sh!】を決め、ちょっと浮かれて応援していたら、まさかのグラシアル選手、柳田選手と“打の軸”の痛すぎる離脱が相次ぎました。開幕前には中村晃選手も戦線離脱。強力打線の威力を減退させぬよう、今こそ威勢の良い若手の台頭が必要不可欠です。

 そんな中で、注目してほしい選手がいます。皆さん、地道にアピールを続ける“美間の姿をミマしたか?”(笑)

好調のキッカケは紅白戦のホームラン

 1軍より一足早く開幕したウエスタンリーグでは、昨季途中に広島東洋カープからトレード移籍してきたプロ7年目の美間優槻内野手が躍動していました。柳田選手らが不在の1軍でも攻撃力をダウンさせないために、まずは右の代打の切り札として美間選手に持ち味の長打力を発揮して欲しいです。

 美間選手は、ここまで2軍戦17試合に出場し、打率.350、長打率は.500。出塁率は.394でほぼ全試合で出塁しています。好調のキッカケを掴んだのは今年の春季キャンプでした。B組ながら、故障者が出たことでA組紅白戦に召集されると、そこで即アピールに成功する“チーム第1号”のホームランを放ちました。ここぞのアピールチャンスで一発回答したのです。

 美間選手はこのホームランがキッカケで打撃の良い感覚を掴んだそうです。その後も快音を響かせました。しかし、キャンプ中の実戦で継続した打棒を披露するも、オープン戦の1軍出場機会は得られず、開幕も2軍スタートとなりました。

「ホークスで1軍に上がるのは、なかなか難しいですね……」

 昨季、そう本音を漏らしたこともありました。カープ在籍時には同僚と「12球団で最も野手の(1、2軍の)入れ替えが少ないのはホークスだろうな」という話をしていたそうです。そんなチームにまさか自分が……。

 それでも悲観することなく、冷静に自身の置かれた立場を分析してきました。

昨季途中に広島東洋カープからトレード移籍してきたプロ7年目の美間優槻 ©上杉あずさ

王会長からの貴重なアドバイスを胸に

「工藤監督の本命は松田さん」

 昨季、松田選手は打撃不振に陥り、故障以外では9年ぶりにスタメン落ちを経験するなど苦しみました。それでも、美間選手は「松田さんは、打てないと言われながらも本塁打30本打ってますよね。打率は落ちたかもしれないけどやっぱり結果を出されてる方なので」と松田選手の存在の偉大さを痛感していました。

 だから、「いきなりスタメンというほど甘くないので、まずは松田さんの調子が落ちた時に(代役として)名前が出てくるようになりたいです」と昨年末、2019年シーズンの目標を語っていました。まずは信頼を勝ち取るところから……とオフは年末年始もほぼ休みなく、筑後で一人バットを振りまくりました。今季へかける強い思いがにじみ出ていました。

 なかなかお呼びが掛からなくても、気持ちもバットも湿ることなく黙々と前を向いて結果を出し続けてきました。

「プロは結果が全てだけど、内容も求めないといけない。今(当時2軍)はレフト方向のヒットが多い。セカンドの頭をガチンと越える打球を打てるように」

 常に現状に満足せず、上の舞台を見据えた内容ある打撃を求めます。

ちょっぴりオチャメ ©上杉あずさ

 また、試合の映像は、実況解説付きの放送で見返しています。ホークスは1軍の試合のみならず2軍戦もホームゲームはFOXスポーツ&エンターテイメントで放送されています。「松中(信彦)さんなどの解説を聞くことで、上のレベルでやられていた方々の見方や考え方を学ぶことができる」と平成唯一の三冠王の解説からもヒントを得ようと貪欲です。

 昨秋のキャンプでは、ホークス移籍後初めて王貞治会長にも貴重なアドバイスを頂きました。美間選手は、打つ時に右肩と顔が一緒に出てしまい、右肩がかぶってしまうそうです。そこで、「右の力が強いから右を使いすぎずに残して、バットを振ってから回るように」と助言を受けたそうです。

 美間選手はその秋季キャンプ以降、王会長からの言葉を胸にバットを振りこんできました。「顔を残して、後ろから見るような感覚で打つ」意識で、変化球の見極めもできるようになってきたと手ごたえを感じています。