1ページ目から読む
2/2ページ目

「楽しんでやったらいいんやない?」兄に掛けられた言葉

 守備面においては、美間選手のポジションは主にサードとファースト。ホークスではユーティリティープレーヤーが求められるため、「セカンド、ショートを守れる人は、サード、ファーストも守れる。僕は逆なのでその分もっと打ってアピールしないと」と決して“守備の人”ではないことを強調します。

 とはいえ、サードでは軽快なグラブさばきを見せ、安定感も光ります。また、ファーストでは後輩の送球が逸れてきた時、何としてでも受け止めてやろうと懸命に伸びたり、ショートバウンドでバシッと捕ってくれたりと全力で抑えてくれる頼もしさもあります。

守備面でも安定感を見せている ©上杉あずさ

「球団は、若い生え抜きの選手を使いたいはず。川瀬とか三森とかみんな良い選手ですもんね」

ADVERTISEMENT

 謙虚すぎるようにも映りましたが、周りを意識するのではなく、自分がやるべきことをやっていくだけなんだという気持ちの表れでした。移籍したばかりの頃は、「上に上がりたい」と思いすぎていつも通りにできなかったといいます。そんな時、いつも気にかけてくれる6つ年上の兄に掛けられた言葉がありました。

「怖れてやるんじゃなくて、楽しんでやったらいいんやない?」

「今年が最後になるかもしれない」という背水の思いを抱きながらも、今季、自分のペースで冷静に取り組むことができているのはお兄さんのお陰でもありました。

いきなり移籍後初ヒットでアピール

 トレード移籍という大きな経験を経て、一皮も二皮も剥けた美間選手。根気強く2軍待機してきた結果……。

 4月11日、ホークス移籍後初めて1軍に昇格しました!(バンザーイ)

 するとこの試合の8回、代打で初出場のチャンスが巡ってきました。初球から積極的にスイング。そして2球目でした。力強く振り抜いた打球はライト線へのツーベースヒットに!!

 キャンプ中の紅白戦同様、もらった最初のチャンスで持ち味を発揮し、アピールに成功しました。チームメイトもみんなが喜んだホークス移籍後初ヒット。松田選手が大声でアピールしてくれてその記念ボールがベンチに返ってきました。試合後、それを受け取った美間選手に、このコラム用に“ボールをもってニコリ”みたいな写真を撮らせてもらおうとすると……

「あ、(仙台行きの)荷物に入れちゃいました」

 えー?! まさかの家に持ち帰るんじゃなく、遠征先に持っていくパターン?!(笑)ちょっと笑ってしまいましたが、これが美間選手にとっての“御守り”となり、今後も活躍してくれたらいいなと思いました。

「今年は優勝に貢献したい」

 プロ7年間、一度も規定打席に達していない。この世界で長くやりたい。冷静だけどちょっぴりオチャメで、内に秘めたる思いは、美間選手だって実は熱男です! 今後もどんどんアピールしてくれると期待しています。次は、プロ初ホームランをおミマいしてやれ~~~!!!

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2019」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/11224 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。