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「おかしい」と感じても契約を止められない

 ジャックスOBが解説する。

「最初に電話してきたのはジャックスの審査部ですね。被害者に『そんなものは買っていない』と言われたのでは審査を通せない。ジャックスからゴルフスタジアムの営業に連絡が行き、慌てたゴルフスタジアムの営業が山田さんに言い含めた。

 この時点で、ジャックスの審査部は『この取引はおかしい』と感じているはずですが、ジャックスにとってゴルフスタジアムはたくさんお金を借りてくれる上得意ですから、審査部が契約を止めようものなら、ジャックスの営業から『お前ら、稼いでもいないくせに偉そうなことを言うな』とどやされる。ジャックスの営業は常に厳しいノルマに追い立てられているから危ない橋も平気で渡りますし、審査部にそれを止める力はありません」

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 あろうことかジャックスは2014年4月15日付で、板垣康義社長の名前でゴルフスタジアムの堀新社長に「感謝状」を送っている。

〈貴社は当社消費者信用サービスを活用されお客様の豊かで満足感のある生活の実現に貢献されるとともに当社の発展に多大なる貢献をされました よって当社創業六十周年を迎えるにあたりその功績を讃え深く感謝の意を表します〉

ジャックス社長からゴルフスタジアム社長に送られた感謝状

 ジャックスの「60周年記念事業」の一環として企画され、当時(2014年)の優良取引先に進呈したものだという(ジャックス広報は「『感謝状』を発行したことは事実でございます」と回答)。

 ゴルフスタジアムの手法についてローン契約時に認識していたかという点についてジャックスに質問したところ、「本件事案については現在係争中のため、詳細についてコメントは差し控えさせていただきます」(広報)との回答だった。

「かぼちゃの馬車事件」にそっくりなのに処罰を受けない現実

「ホームページ制作」を「土地・建物」に置き換えれば、「月々の賃貸収入でローンは払える」と若いサラリーマンに1億円のシェアハウスを買わせたスマートデイズの「かぼちゃの馬車事件」にそっくりだ。金融庁は昨年10月、銀行法に基づき、スマートデイズに資金を供与したスルガ銀行に「2019年4月12日まで新規の投資用不動産融資を停止」などの業務停止命令を出した。

 しかし、甘い審査で巨額資金を提供した信販会社は「ノンバンク」であるため、銀行法の適用も受けない。「ゴルフスタジアム被害者を守る会」の代表は、3月20日に経産省を訪れ、信販会社を管轄する商取引監督課にゴルフスタジアム問題の真相究明を求めた。

3月20日には、経産省にも真相究明を要請した ©大西康之

 銀行はアベノミクスの「異次元金融緩和」で溢れたマネーの融資先が見つからない。そのマネーがグループの信販会社を通じてゴルフスタジアムのような会社に流れ込む。経産省がこのまま信販会社を野放しにすれば、第二第三のゴルフスタジアムが出てくるのは間違いない。

(文中一部敬称略)