全国のゴルフレッスンプロ約1000人が総額40億円の債務を抱えた「ゴルフスタジアム問題」が波紋を広げている。

「ホームページを無料で作ります」と言い寄り、割賦で300万円~1000万円のレッスンソフトを買わせる手口だ。シェアハウス「かぼちゃの馬車事件」に酷似するが、借り手は消費者ではなく個人事業主、貸し手は銀行ではなく信販会社であるため、消費者基本法にも金融商品取引法にも引っかからない。法の網の目をかいくぐる悪質商法には注意が必要だ。

3月26日、東京家裁前で行われた債権者集会に集まった「ゴルフスタジアム被害者を守る会」のメンバー ©大西康之

レッスンプロたちは軽い気持ちで契約書にサインした

 ゴルフスタジアムはデータ解析でID野球を流行らせたアソボウズの創業者、片山宗臣が2004年に立ち上げたゴルフ・レッスンソフトの開発会社だが、2007年に経営不振で片山が経営を退いた後、現社長の堀新が経営権を握った。堀の経歴の詳細は明らかになっていないが、経営していた会社を倒産させた過去があり、よくない噂も流れている。

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 堀が社長になった頃から、ゴルフスタジアムはレッスンプロ向けのホームページ制作を始めた。ホームページに掲載する広告をゴルフスタジアムが集め、その掲載料がゴルフスタジアムの収益になるため「ホームページの制作費は無料」という触れ込みだった。日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2017」によると、2016年にゴルフコースで年に1回以上プレーしたことのあるゴルフ参加人口は、前年に比べ210万人少ない550万人でピーク時の3分の1だ。生徒集めに苦労していたレッスンプロたちは「タダでホームページを作ってくれるのなら」と軽い気持ちで契約書にサインした。

「自己負担ゼロ」のカラクリ

 だが、この契約にはカラクリがあった。ゴルフスタジアムとレッスンプロが結んだ契約はホームページの制作ではなく、「モーションアナライザー」という名前のスイング解析ソフトの売買になっていたのだ。ソフトの価格は300万円~1000万円で、気づいた時にはジャックス、クレディセゾンといった信販会社で「月々5万円の5年払い」のローンを組まされていた。

 レッスンプロたちが軽い気持ちで契約書にサインしたのは「自己負担ゼロ」と説明されていたからである。確かに契約から数年は、ゴルフスタジアムから信販会社に「広告掲載料」の名目で5万円の払い込みがあり、レッスンプロの負担はゼロだった。しかし2017年2月、ゴルフスタジアムからの広告料支払いが突然止まると、レッスンプロに請求が回ってきた。慌てたレッスンプロたちがゴルフスタジアムに連絡しても満足な説明は得られず、2017年7月、同社は東京地方裁判所から破産手続開始の決定を受け倒産した。そしてレッスンプロが組んだローン、総額40億円の負債だけが残った。