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2019/04/09

「がんになった」投稿に「いいね!」していいの?

・いいね!

 知り合いが「がんになった」とフェイスブックに投稿していたら、ぎょっとしますよね。そして次に、「“いいね!”していいのか?」と悩むのではないでしょうか。

 しかしここはぜひ、「いいね!」してほしいと思います。反応がないほうが悲しいです。

抗がん剤の影響で冷たいものが飲めなくなってから、お茶やコーヒーが楽しみに。上はそんななかでいただいた美味しい茶葉たち。薬の影響で食べ物がうまく飲みこめないことも多いので、お見舞い品にも配慮がいるのだと知りました。

カミングアウトに宿る、病気へのファイティング・スタイル

 考えてみればがんになった本人も、それを打ち明けられた周囲の人々も、大半はがんのビギナーです。どんなカミングアウトの仕方が正解か、どう反応すれば相手の心を和らげることができるのかなど、わかるはずもありません。

 私自身もいまだに暗中模索の最中ですが、受け手側のヒントとしては、「がんになっちゃって」と打ち明けられたあと、語尾に「……」がつくのか、「テヘッ」と笑ったのか、矢継ぎ早に言葉を続けるのか、どんな表現でカミングアウトしたかで、本人の病気に対するスタンスが見える気がします。

©iStock.com

 以前、病院の談話スペースで次々と知人にカミングアウト電話をかけているおばあちゃんと遭遇しました。

「元気? おかわりない? あそう。私ねえ、実は………乳がんになったのよ!」

「元気?」と言いながらも返事は聞いておらず、「実は………」というタメの長さに相手の反応をワクワクして楽しんでいる様子が見られました。

 さらにひとり、またひとりと電話をするごとにドライヴがかかり、彼女の話は“噺”と化していきました。私はこのとき、おばあちゃんの“乳がんファイティング・スタイル”を見た気がしたのです。

 己の病気をエンタメ化することでイキイキしていくその様は、こうしてがんを綴ることで立つことができている自分にも通じるものを感じたのでした。

「オラオラ、がん患者様だぞ」に気をつける

 一方で、大の大人を泣かせてしまうほどのがんの暴力的強さを忘れてはいけないとも思っています。

 自分が“がん”を持ち出せば、育児の苦労話もNETFLIXの海ドラ話も蹴散らして、その場をさらってしまうでしょう。その強大なパワーゆえ、友人は私を“王様”と名付けてくれました。

 がんである以上、その“印籠効果”をよくよく自覚し、「ここぞ!」というときに出す。それ以外は、「まさかこの人、私が“がん”だなんて思わないだろうなぁ(にやにや)」という感じで、秘しておく楽しさを味わいたいと思います。

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