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マキタスポーツが語る「ゴールデンボンバーに近いことをやろうとしてた」デビュー前夜

マキタスポーツ×おぐらりゅうじ #1

genre : エンタメ, 芸能

note

東京に来て、俺のことを知ってるやつが誰もいない

マキタ 東京に来て何がびっくりしたって、俺のことを知ってるやつが誰もいないんだよ。

おぐら 当然そうなりますよね。

マキタ いま考えると当たり前なんだけど、当時は本当にそれが衝撃で。ずっと田舎の狭いコミュニティの中にいたから、自分のことは説明不要だったわけ。新しいコミュニティに行ったとしても、あいつは山梨北中出身で超おもしろいんだぜって、必ず説明してくれる人がいたから。東京に来て初めて、自分が見知らぬ人に対するプレゼン能力が極めて低いことがわかった。

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おぐら ただ、上京した人の中にも、地方出身であることが強みになる人もいますよね。

マキタ いるんだよ。この前、地方出身の元営業マンに聞いたのは、東京では積極的に、むしろ地元にいた時よりもキツく訛るようにしてたって。そうすると名前を覚えてもらえるから。コンパとかでも訛りでしゃべると「何言ってるかわかんねーよ!」ってツッコミが入ることで場が盛り上がったり、かなり有利だって言ってた。

おぐら タレントでもそういう売り方はよくあります。

マキタ タレントもそうだし、もはや戦略としては政治家。東さん(東国原英夫)が宮崎県知事に立候補したとき、急に訛りはじめたでしょ。

おぐら それまで「どげんかせんといかん」なんて言ったことなかったのに。

マキタ 芸人になるためにとっくに捨てた故郷を、政治家になった途端、利用するっていう。

 

おぐら いまでいうセルフブランディングの一環ですよね。

マキタ 東京の人は方言に限らず、風習でも何でも、得体の知れない田舎に満足するんだって。

とにかく都会の人間は秘境が大好き

おぐら バラエティ番組でも『秘密のケンミンSHOW』とか『ポツンと一軒家』とか、その最たるものとして『クレイジージャーニー』みたいな異国の少数民族とかに行き着くわけで。もっと言えば、場末のスナックとかに興味を持つのも同じ流れかなと思います。とにかく都会の人間は秘境が大好き。

マキタ 実際に現地で暮らしている人たちから見ると「そんな方言もう使ってない」とか「そんな風習とっくに廃れてる」とか、いろいろ言いたいことはあるんだろうけどね。

 

おぐら 興味本位の人たちやメディアにとっては関係ないですから。自分たちはどんどん新しいものを取り入れていくのに、秘境には発展してほしくない。ノスタルジーの押し売りですよ。

マキタ その元営業マンいわく、なかには田舎者に対して嫌悪感を抱く人たちもいて、反応は真っ二つにわかれるらしいんだけど、ネガティブな反応を示す人たちは相手にしないんだって。すべてを取り込もうとしないその戦略、もうどんだけ賢いんだよっていう。

おぐら その方はいずれ地元に戻って議員にでもなりそうですね。

マキタ  まさにいまUターン組として地元でボランティアやってるって。すでに選挙の前哨戦がはじまってる。