芸人、俳優、ミュージシャン、文筆家と、業界やジャンルを横断しながら活躍中のマキタスポーツさん。芸能生活20周年という節目の年、48歳にして所属事務所の退所を発表しました。「テレビブロス」でおよそ8年にわたって連載しているコラムと、
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70年生まれと80年生まれの二人
マキタ この本『越境芸人』は、雑誌「テレビブロス」に連載していたコラムがもとになっているんだけど、6年ぐらいやってたのかな。
おぐら 連載の開始が2011年の10月で、終わったのが2018年の3月ですね。
マキタ 始まった時は41歳か。俺は1970年生まれで、おぐら君は1980年生まれだから、ちょうど10歳違うんだよね。世代差による感じ方の違いはもちろん、生きてきた環境の違いもあって、おぐら君のことは刺激を与えてくれる供給源みたいに思ってる。だからブロスの連載がリニューアルするタイミングで、次は書き下ろしの原稿ではなく、おぐら君との対談形式にしたかった。
おぐら 今回の書籍化もありつつ、ブロス本誌がリニューアルしたのを機に、マキタさんのコラム連載は一旦終了しましたが、今は僕が相手になって対談連載という形で引き継いでいます。
マキタ 本の中でも発揮されているように、俺なんかはつい頭でっかちに考えちゃうんだけど、おぐら君はフットワークも軽いし、興味・関心領域も広範囲で、ちょうどいいチャラさなんだよね。
おぐら 編集者が本業ではあるんですが、この文春オンラインでも速水健朗さんと時事対談をやっていたり、映画『みうらじゅん&いとうせいこう 20th anniversary ザ・スライドショーがやって来る!「レジェンド仲良し」の秘密』の構成と監督をしたり、最近はお笑いライブのプロデューサーみたいなこともやっているので、まわりからは浮ついてると思われてるだろうなっていうのは感じています。
マキタ 本のタイトルになった「越境」というのは、俺自身が芸人という出自を持ちながら、同時に音楽活動もしていて、ひょんなことから俳優業もやるようになり、どこへ行っても専業で定住している人たちとは違うんだっていう実感から付けたんだけど、そういう意味ではおぐら君も立派な「越境編集者」だよ。言ってしまえば、怪しい業界の人間。
おぐら でも僕が編集者を目指すきっかけになった、いとうせいこうさんも当たり前のように越境していたので、なんとなくそういう立ち位置に憧れていたところはあります。
マキタ リリー・フランキーさんとかね。
おぐら ケラリーノ・サンドロヴィッチさんとか。
マキタ そういう一般社会から見れば何が本業なのかわからないような動きをしながら、結果、文化の中心で確固たる地位を築いた先人たちは、名前こそ平仮名やカタカナで人懐っこく見せているけど、相当ヤバい人たちだからね。