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「『めちゃイケ』はヤラセでしょ」という批判 フジ片岡飛鳥はどう考えてきたか

フジテレビ・片岡飛鳥 独占ロングインタビュー#7

やはりヤラセと疑われた「三ちゃん卒業」の真相

 でもそんなコミカルな役柄の中で逆に、必死にダンスと向き合う彼の努力とか、その汗とか一瞬の表情はより生き生きと、よりリアルに伝えられるような気がするんです。昔てれびのスキマさんも書いてませんでしたっけ? 『めちゃイケ』の面白さは虚実の薄皮を行き来する、みたいな。言ってみれば“コントとホントの境界線”を楽しむってことですよね? それに岡村の「サングラスやヒゲの人が苦手」というのは少なからず彼のリアルでもあって、演出ではあるけど100%ウソでもない。できるだけ出演者の人柄や習性を「抽出する」感じも演出の大事な感覚だと思います。ドキュメントだけど常にそういった仕掛けはしておいて、あとは祈りながら見守っています。なんか面白いことが起きてくれって(笑)。

ダンス練習中、ふと見せる岡村の真剣な表情。さっきまでフザけていたはずなのに……芸人を忘れたその一瞬にこそ視聴者はリアルを見る ©フジテレビ

 ……あ、いい機会だから言っときますけど、ヤラセ、ヤラセって言われた三ちゃん(※4)の卒業なんて超リアルですからね! “ありのまま”のドキュメントに引いたのは僕らなんですから(笑)。

SMAPコンサート乱入のとき、岡村とケンカしていた

<オカザイルから遡ること10年、オファーシリーズ第1弾は「ジャニーズJr.としてSMAPのコンサートに出演」するというもはや伝説となったスペシャル(1997年10月4日放送)。しかし、かつて日本テレビの『吉本印天然素材』(→#5)でも、ダンスの演出には懐疑的だった岡村は、お笑い芸人の自分が真面目に踊るだけの企画の何が面白いのかわからないと片岡に猛反発。それでも長時間練習させる片岡にカメラマンすら撮影を止めてしまったほどだった。片岡にはこの企画が面白くなる確信はあったのだろうか。>

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 今でこそ誰もがやる「ライブ乱入もの」ですけど、当時は世界初でしたからね(笑)。最初はもちろんなにも見えていなかったです。そこで現場を放棄してしまったカメラマンには吉田(正樹 ※5)さんの言葉じゃないですけど「総合演出の苦しみをわかってないね」(→#5)と思ったし、「このダンスは、無理です」という岡村には、演出を背負う自分の辛さと、演者の辛さとは相容れないものがあるんだなとは思いましたね。

 あの頃は、1年弱くらいの短い期間ですけど、“岡村隆史反抗期”の時期だったんです。それはちょうど僕が大遅刻して『いいとも』を辞めたことにも起因するんですけど(→#4)。「飛鳥さんが辞めるんだったら、自分たちも辞める」って。「『とぶくすり』で共に生きていこう!」みたいな契りを交わして、「一緒に『いいとも』もやろう!」って言われた。なのに飛鳥さんだけ抜けていくなんて辻褄が合わない、自分たちが利用されている感じがする、みたいな。岡村も当時の自分自身を「少年ナイフ」と呼んでいて(笑)、そういうことにセンシティブに反応してた時期でしたから。まあこじれました。で、僕もそれを乗り越えるための丁寧なコミュニケーションを怠ってしまった。

「ジャニーズJr.としてSMAPのコンサートに出演」のオープニング。『新しい波』のとき(→#5)の青ジャージが衣装のヒントに。このころの岡村と片岡は最低限の打ち合わせ以外はほぼ会話がなかった ©フジテレビ