「『めちゃモテ』はユーチューバーの走りだったのかも」
その頃はダウンタウンの斜に構えたようなカッコよさに後輩芸人はみな憧れていた時代でしたけど、オープニングから強風のノイズに負けたくなかったのか、岡村が「ワァァァ!」と大声で叫び始めて「何を騒いでいるんですか、岡村さん」「いや自分でも何だかわからないんですけど、騒いでみた」って2人がゲラゲラ笑ってた。良いか悪いかは別として、とりあえず古今東西のどの番組にも似てない空気が生まれました。
ダウンタウンから見たら今のユーチューバーみたいなノリだったと思います。お客さんはどうか分からないけど、まずは自分たちが笑ってたという……同時代に『水曜どうでしょう』がありますけど、あれも『めちゃモテ』とノリが近い。うん、今考えたらどっちもユーチューバーの走りだったのかも……話が逸れましたけど結局第1回目から「コントじゃなくても楽しいじゃん!」と思い始めた。それにコント番組じゃないからこそ武田、雛形、紗理奈とも出会えてますし、その後もロケを中心とした『めちゃイケ』に繋がっていったんです。
決定的だったのはやっぱり「ヨモギダ少年愚連隊」(第1弾は96年3月16日)。『めちゃモテ』を応援しているという茨城県の中学生から手紙が来るんですけど、読んでみると「岡村、ぶっ殺す」と書いてある(笑)。まだ15歳のヨモギダ君が当時トップアイドルだった雛形あきこにセクハラボケをする岡村に激怒しているわけです。やや危険だとは思ったんですけど、岡村に会いに行って「こんな手紙が来てる、『岡村、ぶっ殺すから茨城に来い』ってさ」「えーっ、マジですか?」「だから明日すぐ行こう」と言った瞬間に岡村が笑ったんですね。なんていうか……お互い見えた(笑)。で、
ただ若い頃からの“コント精神”みたいなものは常に根底にあるというか、みんなコントで育っているから、この場面ではこういうやり取りをすべきだというのが、染み付いているんです。わかりやすく言うなら、「やるなよ」って言われたのに「やっちゃう」のは、コントの基本ですよね? ドキュメントでありながらも、そういうコントの基礎体力を持った人たちが演じながら対応するから、やや不思議なバランスのドキュメントバラエティに見えたんじゃないですかね。