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「STAP細胞はありまぁーす」――名場面でふりかえる平成の記者会見 #2

「投げ出し辞任」から「レスリング協会パワハラ問題」まで

2019/04/23

自身によるパワハラさえ感じさせるような会見

「そもそも伊調さんは選手なんですか」

 やらなきゃいいのに、なんでわざわざ……。この会見以上に、火に油を注ぐような会見はないだろう。そもそも問題の当事者でもないのに会見を開き、炎上させてしまったのだから。加えて、自分や大学のイメージまで落としてしまったのは、至学館大学の谷岡郁子学長だ。

©共同通信社

 平成30年(2018年)3月、日本レスリング協会の元強化本部長で、至学館大学レスリング部の監督だった栄和人氏による伊調馨選手へのパワハラ疑惑に反論するつもりが、会見冒頭から怒りをぶちまけた上に、尊大な「上から目線」で語気を強める物言いが反感を買ってしまう。

 その上、4大会連続金メダルの伊調選手に対して、顔をしかめてこう言い放ったのだ。日本レスリング協会副会長という立場からしても、谷岡学長自身によるパワハラさえ感じさせるような会見は衝撃だった。

 もう1つ、この会見のインパクトが強かった理由がある。谷岡学長は国会議員の経験があるとはいえ知名度は低く、疑惑が持ち上がった後も注目される存在ではなかった。世間は誰も彼女に対するイメージを持っていなかった。だからこそ、あの会見が彼女の第一印象を決定づけた。これから先も、この時の印象はついて回る。感情の出し方、自分の見せ方を誤ると会見はマイナスでしかない。伝えたいメッセージすら伝わらなくなる。

平成で大きく変わった会見の影響力

 この30年で会見を取り巻く環境は激変した。かつては、新聞やTVでしか見ることができず、会見を分析しようとすれば、ニュースか情報番組で流されるわずかな部分をビデオ録画して再生するしかなかった。それが今やネットで検索するだけで、いつでもどこでも注目の会見シーンや全録が見られるし、ネット中継によるライブ会見も珍しくはなくなった。

 SNSでリアルに反応があるだけでなく、下手な会見を行えばすぐさま炎上。それだけでなく会見中に反論や抗議が行われる時代になり、見ているこちらは面白いけれど、会見する側のリスクは高まるばかり。そのうちテレビ電話やビデオチャットで質問する記者やら、反論する関係者が出てくるかもだ。

 さて令和の時代が幕を開ける。最初に注目を集める会見は何だろう?

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