「夫ががんだと分かったからエイベックスを辞めたわけではないんです」。misonoさん(34)が、夫でロックバンド「HighsidE」のドラマー・Nosukeさん(29)の精巣がんを告知されたのは、大手芸能事務所「エイベックス」から独立してまもなくのことでした。misonoさんが結婚し、事務所を辞めて、新たな人生をスタートさせようとしていた理由とは?(全3回の3回目/#1#2も公開中)

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――昨年10月にエイベックスを退社したばかりでしたよね。

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misono 事務所には本当に感謝しています。喧嘩別れだとか、クビだと誤解されているのですが、円満退社でした。お世話になったスタッフさんとは、辞めてからも連絡をとりあっています。Nosukeのがんが分かったのはその後の11月です。だから、事務所を辞めたことと、夫の病気は関係ありません。

misonoさん

炎上クイーン、お騒がせタレントというフィルター

――なぜ事務所を辞めようと思ったんですか。

misono アーティストとして、例えば「日本武道館に立ちたい」という目標があったり、「もっとこうなりたい」という志があれば良かったのですが、自分はもう完全燃焼したなと思ったんです。misonoは特に好き勝手、自由にさせてもらえていたので、自分がやりたい物事は全てやりきったというか。

――アーティストを辞めるということなんでしょうか。

misono これからの人生は「仕事もプライベートも、友達と家族とスタッフと、傷つけ合わずに、皆で幸せになりたい」という想いだけしかなくて。もともと、歌うことは好きでも得意でもありませんでしたが、正直どんどん音楽を楽しめなくなっていき、気づけばいつの間にか嫌いになっていました。そんな自分も嫌でした。それで、モノマネをやり始めたんです。仕事の楽しさを取り戻せましたし、2007年にバラエティに進出したおかげで、タレントとして黒字にもなりました。一方で、ミュージシャンとしての結果も必要で、CDの売り上げが落ちているのも自分は気にしていました。

 30歳以降は炎上クイーン、お騒がせタレントとして知られるようになって、フィルターがかかった状態で歌を届けるようになりました。そうするとますますライブイベントではなく、バラエティに出るようになり、さらにフィルターがかかって……。そんな悪循環が続いていた気がします。misonoとして、本当に伝えたいことが届きにくくなっているのを感じていました。

――自分の人生を考える時期でもあったタイミングで、Nosukeさんのがんが分かって、急に支えなければならない立場になって。

misono プロとしては失格だったと思います。事務所を退社した1番の理由は、ボランティアやチャリティー、海外のお仕事をメインにしたいから辞めたんです。事務所や、自分の夢のためではなく、人の夢を叶える仕事がしたいと。もともと保母さんになりたいくらい子どもが好きで、これからは子どもたちのために歌おうと思い、小学校や親のいない子どもたちの施設で歌わせてもらっている時期でした。それが、治療費のため、Nosukeのためになってしまっていたので。