『ルパン三世』(’67年)の原作者、モンキー・パンチの訃報から数日と空かず『子連れ狼』(’70年)の原作者・小池一夫の訃報が届いた。新元号の令和を前に、二時代前となった昭和の大作家が二人も続けて亡くなったことで、つとに「昭和は遠くなりにけり」の感を強くする。

パリで開かれる「キャラクターアート MANGA パリ展」発案者で漫画原作者の小池一夫さん(2008年04月14日) 産経新聞社提供

 去る2019年4月17日、漫画・劇画原作者、作詞家として著名な小池一夫が逝去した。死因は肺炎。満82歳だった。小池は1936年5月8日生まれの秋田県大仙市出身。本名は俵谷星舟、旧名は俵谷譲。モンキー・パンチは絵とストーリーの両方を描く原作者だったが、小池一夫は漫画・劇画の設定とストーリーを担当する、言葉の意味合いどおりの原作者だった。

ADVERTISEMENT

 先に『巨人の星』(’66年)や『タイガーマスク』(’68年)等で世を席巻した梶原一騎ともども“漫画(劇画)原作者”の知名度を上げ、広く世間に浸透させた。“一夫”の筆名は1976年からでそれまでは“一雄”名義で筆を執っていた。後進の育成にも力を注ぎ、幕末の思想活動家・吉田松陰の私塾・松下村塾にちなんだ“劇画村塾”を開設。高橋留美子、原哲夫、堀井雄二、さくまあきら、山本直樹らの才能を輩出した。その業績の多くは先の『子連れ狼』を筆頭に『御用牙』(’70年)、『修羅雪姫』(’72年)、『弐十手物語』(’78年)など主にアナーキズム溢れる時代劇作品に集約されるが、そのいずれもが幾度も映画やテレビドラマ化され、映画監督のクエンティン・タランティーノやジョン・ウーなどに世代・国境を超えて愛され続けている。