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リスクは運営している日本企業に

 高級ブランドで多く締結されるのがMC契約だ。この契約では、建物所有者が自社やその子会社としてホテル経営会社を設立させ、その会社で従業員を雇用させ、経営責任を負わせるものだ。ホテルブランド会社からは総支配人や一部経理総務スタッフなどが派遣されるが、経営責任を負うことはない。東京ディズニーランドが実際はオリエンタルランドという日本の会社で経営されているのと同様である。ホテルブランド会社は総支配人などの人件費を負担させ、さらに多額のブランド料を徴収する仕組みになっている。虎ノ門のホテルアンダーズはハイアットグループのブランドだが、実際に経営するのは森ビルの子会社が行っている。

 MC契約の利点は、ホテルブランドに属することで総支配人などの派遣、ブランドの運営ノウハウの享受、そしてブランドの持つ世界中のVIP客を招くことができる予約システムの利用などが可能となることだ。

 FC契約は、コンビニエンスストアなどと同じフランチャイズ契約だ。ホテル予約システムなどが利用でき、ブランド名での看板を掲げることができ、実際の経営のほとんどをホテル経営会社側が持つ。経営に自由度がある反面、ブランド側の支援は少ない。シェラトンなどはこの形式のものが多い。だが、経営の自由度が高い分、高級なブランドになるほどFC契約は締結しない傾向がある。

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©iStock.com

 肝心なのはMCもFCもホテル経営の責任は現地ホテル会社が負っているということにある。ホテル事業には様々なリスクがある。万が一、国内でまた大きな地震などが発生する(天変地異リスク)、韓国や中国などとの紛争が激化する(政治リスク)、リーマンショックのような景気悪化がある(経済リスク)、新型インフルエンザの流行が勃発する(疫病リスク)などのリスクが顕在化すると、ホテル経営は一気に厳しい状況に陥る。

 実際に並んでいるこれらの新規ホテル計画のほとんどが建物所有者や事業主側が経営責任を負うMCやFC契約だ。外資系ホテルを誘致するためにあまり無理な投資を重ねていると、いざリスクが顕在化した時にこれらのホテル経営会社が大きなリスクを被り、翻って建物所有者や事業主にもリスクが及ぶことも否定できない。

平成初期のファンドバブルとの類似点

 今回の日本の不動産の活況は、都心部からスタート。不動産投資の波は大阪、名古屋などの3大都市圏から地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)に飛び火、そして投資マネーは不動産を求めて沖縄に上陸している。最近では沖縄だけでなく全国のリゾート地の物件でも物色が始まっている。

 平成初期のファンドバブルと言われた景気はリーマンショックで吹き飛んだ。この時のマネーの動きも東京都心を皮切りに沖縄で終焉を迎えた。今回はどうだろうか。