いつの間にか本塁に帰ってきているという強み
今シーズンも滑り出しは好調で、「3番打者・野間」の3、4月の打率は.305と決して悪くはなかった。しかしチームは勝てなかった。更には「不動の1番打者」田中が不振に陥った。そこで令和初日の5月1日阪神戦から「1番・野間」となったのである。これはまた「田中の代わり」なのだろうか。今後田中が調子を戻した時には、野間はまた1番の座を明け渡さなければならないのだろうか。
確かに高い出塁率を誇り、17年には盗塁王も獲得した田中に比べると、野間の出塁率や盗塁数は物足りなく思えるかも知れない。野間の1年目から今シーズン(5月22日まで)の通算出塁率を打順別にまとめると、打順が1番の時は.297、逆に6番では.338、7番では.368となり、下位に置いた方が脅威になるようにも思える。
田中に負けない野間の長所、1番打者としての強みとは何かと考えた時、頭に浮かぶのは「野間さん一塁走者だったはずなのに、なぜ単打で本塁まで帰ってきているの」という場面である。そう、野間は塁に出るといつの間にか帰ってきている。これを仮に帰塁率と呼ぶ。昨年度で見ると、野間が塁上にいたのは安打111(自分で自分を帰している本塁打5を除く)、四死球36、代走11の158回。そのうち得点は59(本塁打分の5を除く)なので帰塁率は.373となり、これは昨年度の田中の帰塁率.353を上回る。
今シーズン、現在までの野間の帰塁率は.525に上昇している。その帰塁を支えているのが2番・菊池だ。5月23日現在、菊池の得点圏打率は.429とリーグトップとなっている。「出れば必ず帰ってくる男」野間と「走者必ず帰す男」菊池の1、2番コンビ。それは最強ではないのか。現に4月末まで12勝15敗だったチームも、野間が1番に座った5月以降は14勝3敗と勝ち進んでいる。
ここに至って野間は「誰かの代わり」ではなく、圧倒的な帰塁率を誇る1番打者となった。再び田中との1番争いが繰り広げられるのか、或いは定位置を獲得していくのか。今後の打順から目が離せない。
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