©松本輝一/文藝春秋、末永裕樹/文藝春秋

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――和田さんは舞台『刀剣乱舞』(以下、刀ステ)の第1作『虚伝 燃ゆる本能寺』初演(16年5月)時から「へし切長谷部」役で出演されています。最初の感触はいかがでしたか。

和田 幕が上がるまで、めちゃくちゃ不安でしたよ。コンテンツが凄く人気なのはわかってましたから、まずお客さんに受け入れてもらえるかどうか。

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――原案となるゲームには、物語やキャラクターの細部まで描かれているわけではないですしね。

和田 そうなんですよ。とりあえずゲームはやり込みましたし、ゲームの印象的な台詞――僕の役で言えば「圧し切る!」みたいな台詞は大事にしようと思いました。それこそ初演の時はゲームの声優さんに声を寄せることも考えたんですよ。でも、100パーセント寄せるのは無理じゃないですか。どうしたって自分の色も取り入れるしかない。なので、プラスアルファで史実にも当たったり、ヒントになりそうな資料はできるだけ見るようにしました。

――実際の手応えはいかがでした?

和田 やっぱり幕が上がらないとわからないことって多いんですよね。結果、最初から認められた部分もあれば、徐々に認められていった部分もあるし、認めてもらえない部分もあったと思います。一つ言えるのは、「2・5次元」って、モノマネではないと思うんです。二次元と三次元の間で、みんなで、それこそお客さんにも想像力を0・5持ち寄ってもらうことで、それぞれの刀や作品を一緒に作り上げていくイメージが僕にはあるんですよね。

個性の違いが殺陣、間合いにも

――その後、再演や外伝も含めると、刀ステは今年6月の新作公演で、実に7作目となります。

和田 シリーズが続けられるのは、少なからずお客さんが認めてくださったからだと思うので、ありがたいです。もちろんまだ認めないよっていう方もいるかもしれないですけど。

――そういう声も耳に入りますか?

和田 刀ステにかぎらず、2・5次元の舞台自体、まだまだ発展途上で、否定的な声もありますからね。僕自身は、イチ観客として他の作品を見ると、どれも凄いことをやっていると思うんですよ。役者も、芝居ができるし、ダンスもできる、歌だって唄えるっていう人が多いですからね。

――刀ステの場合は、そこに殺陣もありますしね。

和田 刀剣乱舞というくらいで、文字どおり、刀が乱れ舞います。しかも、一振りごとに個性にあわせて殺陣の型も、間合いも違う。僕らも大変なんですが、敵となる時間遡行軍を演じるアンサンブルの人たちの技術と運動量がまた、ハンパないですよ。