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語られることの少ない金メダルの“遺産”

 岩崎恭子の金メダルは、競泳界に大きな影響を与えた。フツーの中学生だった彼女が金メダルを獲ったことで、各スイミングクラブのコーチ陣は、所属の10代の選手たちを鍛え上げて、夢を追った。

メドレーリレーのメンバーには千葉すず(左)の姿も ©JMPA

 岩崎も参加したアトランタ・オリンピックは「史上最強の布陣」と前評判も高かったが、10代を中心とした選手たちは、まだナイーブだった。アメリカの大観衆に飲み込まれた少女たちは完敗、メダルはゼロに終わった。

 それでもレベルの引き上げは無駄ではなく、続く2000年のシドニーでは銀2、銅2、そして2004年のアテネで北島康介、柴田亜衣が金メダルを獲得し、黄金期を迎える。バルセロナを見た指導者がコツコツ強化を続けた成果が実を結んだ。

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 岩崎恭子が獲得した金メダルの、語られることの少ない“遺産”である。

結婚、出産、離婚を経験……

 バルセロナから、はや27年。

 あの恭子ちゃんも40歳を過ぎ、結婚、出産、そして離婚も経験した。昨年の秋に不倫報道があってから目立った活動はなく、水面下で息を潜めているかのようだ。

 それでも思う。

 バルセロナの夏、岩崎恭子という中学2年生が残した言葉は、令和になっても決して忘れることが出来ない名言だった。

 打算のない、純粋な言葉は時代を超えて生き続けるのだ。