昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/05/09

飲み屋で予習復習の日々

 アナウンサーに限らず、Bリーグの中継を担当するプロフェショナルは、水面下で努力を重ねている。松本は2017-18シーズンまで主に新潟アルビレックスBBの試合を担当していた。彼は当時をこう振り返る。

「金曜に長岡入りして、練習取材をしていました。制作の方も設営などの準備があるので前日入りしています。だから長岡駅近辺の飲み屋で『マイナス第1クォーター』です。試合後の夜はパソコンを持ちこんで、映像を見ながら第5クォーター。スイッチャー、ディレクターなど10人くらいでやっていました」

 

 試合はもちろん第4クォーターまでだが、プロの努力はその前後にもある。真剣な没頭が放送をレベルアップさせていく。松本に理想のバスケ中継を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「もっと駆け引きを伝えられたらいいと思います。ただ入った、入らなかったではない“それ以上”を伝えたい。守り方をこう替えたから、このプレーを選びましたとか――。解説者のコメントを拾って、噛み砕ければいいですね」

©文藝春秋

 松本はこう続ける。

「映像には優位性があります。だから『その場面を見てみましょうか』と拾えれば分かりやすくなる。それをさっと出せるように、制作みんなのレベルが上がればいいと思いますね」

 中継もコート内と同様にチームを組んで行うもの。質を上げるには、そこに携わる全員がバスケを深く知る必要がある。その深さが放送を通して視聴者に伝われば、日本のバスケ文化はより豊かで楽しいものになるだろう。

写真:深野未季/文藝春秋

この記事の写真(9枚)

+全表示