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選手を見分けられるという“特技”
試合中、松本はモニターでなくコートを凝視している。選手を特定できなければ、お話にならない。2ポイントシュートと3ポイントシュートの判別なら、審判の「指」まで見る必要がある。
一方で体型や風貌の似た選手がコートに立つと、判別が難しい状況も起こる。外国人選手は特に区別がつかない。しかしNBA、ユーロリーグと世界のプレーも見てきた松本にはこんな特技がある。
「アイドルとかは分からないんですけど、バスケ選手だったら外国人でも分かるんです(笑)。まずはシルエット、髪型……。あとドリブルの突き方が人によって違う」
解説者に聞くとき効果的な一言
解説者との掛け合いも大切だ。競技の専門家でも放送に慣れているとは限らない。松本はこんな鉄則を明かす。
「あるディレクターが初めて解説をする人に『ワンセンテンスを短めに』と言っていました。それをやってくれると僕はやりやすい。文章が短ければ次の話題に行くのか、話を膨らませるのかの判断を自分ができる」
33歳の松本が「話が長いので短めに」と解説者に要求するのは立場的に難しい。しかし彼はこんなテクニックを使う。
「『一番は何ですか』と聞いたら、ポイントを絞った話をしてくれます。『一番を』という聞き方には汎用性がある」
バスケはまだ放送の「定石」がなく、松本やスタッフは今も様々な模索を続けている。目由紀宏(さっかゆきひろ)氏は彼がオススメする解説者で、中継を録画して言い回しを学ぶことがあるという。NBA中継の英語表現から「パクる」場合もある。