「世界に一つだけの花」のヒントは“お釈迦様のひと言”
槇原がSMAPに提供し、平成を代表する曲となった「世界に一つだけの花」も、まさに「いい話を音楽という形で翻訳して」生まれた。2002年にアルバム『SMAP 015/Drink! SMAP!』に収録され、翌03年にシングルカットされて大ヒッ
もっとも、そのヒントはすぐに得られたわけではない。じつはSMAPにはその前に1曲つくったものの、ボツになっていた。締め切りまで残された時間はあとわずか。もう書けないとふて寝したが、朝方、ハッと目が覚めると一転して書ける気がした。このとき「後ろから波がワーっとやってくる感じがして、もう乗るか乗らないかしかない状態」になった彼は、心を決めてそれに乗ると、そのあとはまるで紙芝居のように歌の場面が、次々と頭のなかに浮かんできたという。槇原いわく《僕は本当にその映像を書記していくだけでした。サーっと二十分くらいで歌詞を書き上げたんです》(※5)。
「世界に一つだけの花」が生まれる背景には、その3年前の1999年に、覚醒剤所持で逮捕され、活動自粛を余儀なくされた体験も無関係ではない。この期間のことを槇原は折に触れて語っている。あるインタビューでは、《そこで思い知ったんですよ、“身の程”みたいなものを。でも、それがなかったら、勘違いしまくって“最低な人間”になっていたと思いますね》と省みている(※7)。