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 自民党が5月10日に配布した失言防止マニュアルには、表現が強くなって失言を招きやすいパターンとして、「歴史認識、政治信条」が最初に挙げられている。谷川氏の失言もこれにあてはまる。

カジノ解禁法案質疑での衝撃の言動

 谷川弥一 自民党・衆院議員
「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時……」

 朝日新聞デジタル 2016年12月5日

 谷川氏は過去にこのような言動で騒ぎを起こしている。2016年11月30日に行われた衆院内閣委員会のカジノ解禁法案に関する質疑の場で、質問に立った谷川氏が40分の質問時間があるにもかかわらず、28分を過ぎた時点で「一応質問が終わったのですが、あまりにも時間が余っているので」と前置きし、余った時間を潰すために「般若心経」を唱えはじめたのだ。その他にも地元愛や夏目漱石の紹介も行った。

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 結局、カジノ解禁法案は推進派の自民党がわずか5時間33分の審議時間で採決を強行した。カジノ推進派の木曽崇国際カジノ研究所所長も「推進側にいる議員がことごとく意味のない質疑で延々と持ち時間を消費するという驚きの展開」と指摘し、「本法案は我が国の賭博史始まって以来の『お笑い法案』として末代まで語り継がれてゆくことは間違いありません」と批判した(BuzzFeed NEWS 2016年12月6日)。

「『失言』や『誤解』を防ぐには」と題されたマニュアル

 問題点をあぶり出し、議論を詰めていくという発想が根本から抜け落ちているのかもしれない。カジノ解禁法案も長崎新幹線も同じである。推進したいことはゴリ押しし、相手が反発すればピント外れの言葉で批判をする。谷川氏の姿勢は、与党全体に蔓延しているのではないだろうか。